なぜ証券化クレジットに投資するのか?

Sep 17, 2026

証券化クレジットは通常、同格付の投資適格社債に比べて高い利回りを提供します。さらに多くが変動金利債であるため、伝統的な債券市場と低相関です。

証券化クレジットへの理解を深める
  • 証券化クレジットにおける構造的保護と、それが社債クレジットと異なる理由
  • なぜ証券化クレジットに投資するのか?
  • 証券化クレジットへのアクセス方法は?
  • 考慮すべきリスク
  • 証券化クジレット:詳細に検討する価値のある主要な資産クラス

証券化クレジットにおける構造的保護と、それが社債クレジットと異なる理由

証券化の仕組みには、複数かつ独立した信用保護の層が組み込まれています。これは、社債の単一の債務者リスク特性とは根本的に異なります。証券化クレジットの保護は、単一の発行体のバランスシートの健全性に依存するのではなく、書面化された契約として組み込まれ、法的に分別された特別目的事業体を通じて執行されます。具体的には以下のとおりです。

  • 優先劣後構造は、資本構成をエクイティ、メザニン、シニアという債券の階層に分割するトランシェ化のプロセスによって生み出され、それぞれが損失のウォーターフォールにおいて定められた位置につきます。裏付け資産の損失は、シニア債に毀損が及ぶ前に、まずエクイティ・トランシェが、次にメザニン・トランシェが吸収します。回収額が財務悪化時点における発行体の残存企業価値に左右される社債とは異なり、証券化商品の投資家は、契約上定められた損失配分ルールによる恩恵を受けることができます。
  • エクセス・スプレッド(担保資産からの利息収入と、債券保有者へのクーポン支払いおよび取引費用との差額)は第一の防衛線として機能します。上記の優先劣後構造が機能する前に、担保資産の損失をその都度吸収し、動的かつ自己補充型の信用補完として働きます。すなわち、エクセス・スプレッドが日常的な担保資産の損失を吸収し、各トランシェの構造的な緩衝材を、より深刻なストレスシナリオに備えて温存します。社債には、債券保有者の利益のために自動的に発行体のキャッシュフローを振り向けて損失を吸収する、これに類似する仕組みは存在しません。
  • 担保資産の特性は、さらなるリスク遮断をもたらします。多くの資産クラス、顕著な例は住宅ローンですが、借り手が対象資産にエクイティ(例えば住宅所有者の自己資金やその後の価格上昇分)を有している場合、このエクイティは、損失が証券化資産に及ぶ前に完全に毀損されることになります。また、証券化ポートフォリオは通常、借り手、地域、業種にわたる数百または数千の個別エクスポージャーで構成されており、社債ポートフォリオに内在する単一発行体への集中リスクを大幅に軽減します。

これらの仕組みは、ストレスシナリオ下でも投資家に損失に対する強固な保護を提供してきました。図表1は英国住宅ローン担保証券に関するもので、異なるトランシェの投資家が損失を被るために必要となる累積損失の水準を示しています。過去30年で最も困難なビンテージであった2007年に発行された住宅ローンでさえ、累積損失は5%を超えることはなく、投資適格トランシェに影響を及ぼす水準には達しませんでした。

図表1:強固な仕組みは、ストレスシナリオ下でも投資家を損失から保護
(英国RMBSの例)  
Chart showing Strong structures protect investors from losses

出所: RBCブルーベイ・アセット・マネジメント。例示のみを目的としています。これは、特定の証券の売買を推奨するものではありません。

より広範な証券化クレジット市場は2007年以降、例えば信用補完がより高まるなど、進化を遂げてきました。その結果、現在のAAA格付の欧州RMBSの一部では、AAAトランシェが損失を被る前に裏付けローン資産の最大80%がデフォルトする必要があります。これは、欧州の証券化クレジットにおいて一度も発生したことのないシナリオです。あるBBB格付のCLOの損失が生じるデフォルト率は、世界金融危機(GFC)時に観測された市場最高のデフォルト率の約2倍の水準に相当します。

自然なデレバレッジは、社債には直接該当するものがない、証券化クレジットのもう1つの特徴です。裏付け資産となるローンが元本返済を行うと、その返済金はウォーターフォールを通じて、まずシニア・トランシェに支払われます。その結果、シニア・トランシェの償還が進むにつれて、低格付トランシェの保護バッファーは強化されます。シングルAとして発行された債券が、時間の経過とともにA+やAA格の基準を満たすだけの十分な信用保護を蓄積し、それに応じて格上げされる場合もあります。この構造的な変動が、欧州の証券化クレジットにおいて格下げよりも格上げが多く生み出されてきた理由を説明しています。これは社債市場で観察されるパターンとは逆です(図表2)。

図表2:欧州証券化クレジットと社債における格上げ・格下げ比率の推移

 

Chart showing Historical upgrade downgrade ratio for EU securitized credit and corporate credit

出所:モルガン・スタンレー、RBCブルーベイ・アセット・マネジメント、2025年12月31日時点。例示目的のみ。ここに描かれたまたは説明されたトレンドが今後も続くという保証はありません。

投資家の観点からは、ポートフォリオにおける証券化クレジット債のリスクは、他の条件が同じであれば、各年度の年初よりも年度末の方が低くなります。さらに、アクティブ運用者は格上げの基準に近づいている債券を特定し、その後に通常生じるスプレッド縮小に先んじてポジションを構築することができます。

なぜ証券化クレジットに投資するのか?

証券化クレジットは、投資家に多くの重要なメリットを提供します。

  • 魅力的なインカム:証券化クレジットは通常、他の同格付けの伝統的債券と比較してより高い利回りを提供します。
  • 構造的保護:これらの特徴は、複数の損失吸収の層を創出し、裏付け担保資産の相当部分がデフォルトするシナリオにおいてもシニア債の保有者を保護します。
  • 分散効果:証券化クレジットは、裏付資産プールにおいて借り手、セクター、地域にわたって大きな分散を提供し、従来のクレジットと比較して単一発行体への集中リスクを低減します。また、一般消費者向けローンの担保は、社債リスクとは構造的に異なるリスクエクスポージャーをもたらし、ポートフォリオ全体の分散をより進めることになります。
  • 従来のクレジット・エクスポージャーよりも低いデュレーション:証券化クレジットの債券は主に変動金利の構造であり、実効残存期間も短いことが多いため、従来の債券のクレジット・エクスポージャーと比較して金利変動に対する感応度がより低くなります。
  • アクティブ運用の機会:裏付資産の異なるサブアセットクラス間の微妙な違いは、市場の非効率性と相まって、専門知識と豊富なリソースを有するアクティブ運用者が付加価値を生み出す機会を創出できます。例えば、潜在的な投資機会を捉えるためにサブアセットクラス全体に投資し、分散効果をさらに高めることもできます。

厳密なリスク・リターン特性は、当該証券のキャッシュフローを生み出す裏付担保によって異なります。

証券化クレジットへのアクセス方法は?

債券への直接投資:投資家は個別のABS、RMBS、CMBS、CLOのトランシェを直接購入することができます。ただし、最低投資金額が大きく、担保資産プールや構造を評価するための分析能力が求められるため、この手法は証券化クレジットの専門チームを有する大規模な機関投資家にのみ適しています。

個別運用口座(SMA)/個別委託運用:運用会社は、単一の顧客向けにオーダーメイドのポートフォリオを提供することができます。これらは最低投資額の要件があるものの、カスタマイズ性が高いという利点があります。

ファンドを通じた投資:ファンドには3つの種類があります。

  • オープンエンド型ファンド: 日次または週次の流動性を提供し、最低投資額の要件も低く、ABS、RMBS、CMBS、CLOにわたる分散されたエクスポージャーを提供します。銘柄選択、ストラクチャー分析、継続的なモニタリングは専門の運用者が担当します。
  • クローズドエンド型ファンド:流動性は低いものの、よりニッチな資産を保有することができます。
  • ETF:流動性の高いエクスポージャーを提供しますが、一般的にシニアCLOへの集中度が高いため、他の戦略で得られるような分散効果に欠ける可能性があります。

考慮すべきリスク

証券化クレジットには、投資家が考慮すべき重要なリスクがいくつか存在します。主なものは以下のとおりです。

  • スプレッド・デュレーション:金利デュレーションは通常低い水準にありますが、スプレッド・デュレーションはより重要です。スプレッドの拡大は、裏付担保のパフォーマンスに関わらず時価評価の下落につながる可能性があります。償還が早いシニア・トランシェは、その影響を受けにくくなります。
  • クレジットリスク:証券化クレジットは、観察可能な担保に裏付けられており、損失がシニア・トランシェに及ぶ前にそれを吸収できる構造的な保護が備わっています。投資適格トランシェにおいて、主に考慮すべき点は担保のタイプです。CLOシニア債、消費者ABS、CMBSはそれぞれ異なるリスク特性を有しており、いずれも専門的な分析が恩恵をもたらします。
  • 流動性および時価評価リスク:セカンダリー市場の流動性、特にメザニンやCLOエクイティ・トランシェの流動性は、金融危機(GFC)や2020年3月のようなリスクオフ時に悪化する可能性があります。ビッド・アスク・スプレッドが拡大する可能性があり、売却を余儀なくされる売り手は、ファンダメンタルズが健全なポジションであっても時価評価損を確定させることになります。
  • 期限前償還リスクおよび期間延長リスク:モーゲージ関連および消費者ABSにおいて特に重要となります。金利の低下は期限前償還を加速させ、利回りを圧縮し、より低いスプレッドでの再投資を余儀なくさせる可能性があります。金利の上昇は期限前償還を減速させ、期間を想定以上に延長させる可能性があります。アクティブ運用は、特にRMBSおよび消費者ABSにおいて、この変動に対応する上で重要な役割を果たすことが可能です。
  • 構造的な設計:キャッシュフローの分配と損失の吸収に関するルールが構造に組み込まれています。社債と異なり、価格はディーラーの提示値や、借り手の行動およびデフォルト率に関するモデルの仮定に依存します。構造を正しく理解することは、クレジット分析を正しく行うことと同じくらい重要です。

これらのリスクは重要ですが、同時に管理可能でもあります。適切な投資期間とリスク許容度を有する投資家にとって、証券化クレジットの構造的な特性は、同等の格付を有する社債と比較して魅力的な対価を提供する選択肢となり得ると私たちは考えています。

証券化クレジット: 詳細に検討する価値のある主要な資産クラス

証券化クレジットに対する需要は引き続き堅調です。実際、欧州の投資家が現在投資可能な1.3兆米ドル規模の市場は、成長を続けると予想しています。その背景には、質の高いファンダメンタルズ、従来の債券との相関の低さ、主に変動金利のエクスポージャー、そして信用力の低さではなく構造上の複雑さを補ってきたスプレッド・プレミアムがあります。

さらなる構造的な追い風として、機関投資家の裾野の拡大が挙げられ、欧州および英国の保険セクターにおける規制変更が、今後3~5年の需要を牽引すると予想されます。この傾向は欧州以外にも広がっており、アジア、米国、中東の投資家からの関心が高まっています。

より広範で多様化した買い手の裾野が、流動性の改善、取引コストの削減をもたらし、市場環境が変化しても、安定した需要が創出されるでしょう。こうした背景は、証券化クレジットを活用することの潜在的な利点をさらに強固なものにしています。

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投資リスク
当社との投資一任契約に基づく運用においては、原則、外国籍投資信託を通じて、主に海外の公社債、株式、通貨等の値動きのある資産に投資しますので、基準価額が変動します。従って、契約資産は保証されるものではなく、投資元本を割り込むことがあります。運用による損益は全てお客様に帰属します。主なリスクとして、価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、信用リスク、流動性リスク、カントリーリスク等があります。また、デリバティブ取引等が用いられる場合、デリバティブ取引等の額が委託保証金等の額を上回る元本超過損が生じることがあります。なお、投資リスクは上記に限定されるものではありません。

 

手数料等 
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なお、上記には、投資一任契約に係る投資顧問報酬、外国籍投資信託に対する運用報酬が含まれます。この他、管理報酬その他信託事務に関する費用等が投資先外国籍投資信託において発生しますが、契約内容や運用状況等により変動しますので、その料率ならびに上限を表示することができません。