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今月後半に予定されている主要中央銀行の会合を控え、債券利回りはこの1週間でやや上昇しました。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)のブラックアウト期間を前に、ローリー・ローガン氏とベス・ハマック氏は共に、今後数ヶ月間での利上げバイアスを主張しました。力強い経済指標や好調な株式市場を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)全体で、よりタカ派的なシフトが見られるようです。
2026年初めには、労働市場の軟化が利下げの原動力の要因として挙げられていましたが、ここ最近の経済指標では求人数の増加や失業率の安定、採用ペースの上昇傾向が示されています。先週金曜日に発表された米国の雇用統計も、いつも通り注目を集めましたが、米国経済が大きく減速している兆候はほとんどありません。
対照的に、インフレ・リスクは上昇を続けており、人工知能(AI)ブームも過熱しています。さらに、生産性の加速によりAIがインフレを押し下げる大きな力になるという考え方を否定し始めているエコノミストが増えているようです。この点に関して言えば、成長率や生産性を高めた過去の主要な技術革新はいずれも、より高い中立金利(R*)をもたらしました。
したがって、AIが極めて異なるものになるということは、これまでに前例がない考えです。もちろん、雇用の崩壊が消費支出の崩壊につながるとのシナリオ下において、AIが経済成長の大幅な弱体化を引き起こす場合は別です。
ウォーシュ議長率いるFRBがフォワード・ガイダンスを取り止めようとする中、6月のFOMC会合での金融政策の変更は予想されていませんが、パウエル前議長の緩和バイアスが撤回されることは明らかでしょう。また、ウォーシュ議長は自身の足跡を残したいと考えており、ホワイトハウスからの干渉を受けず、自身が適切と見なすことを実行する姿勢を強調し、自らのレガシーを確固たるものにしようとするでしょう。
これは、今後の利下げを期待し続ける一部の市場参加者にとって、ややタカ派的に受け止められる可能性があると考えています。しかし、FF実効金利が3.625%である現状の金融政策が、わずかでも引き締め的であることを示す証拠はほとんどないように思われます。むしろ、金融環境インデックスは米国の金融政策が依然として緩和的であることを示唆しており、この点で、昨年末にFRBが利下げを実施すべきであったのかという疑問の声も市場では聞かれています。インフレの上振れリスクがの高まりを阻止するために、この利下げは撤回されなければならないとの見方があります。
その場合、仮に夏場にかけてインフレ指標が高水準で推移し、株式市場が最高値を更新し続ければ、9月の利上げ確率が高まる可能性があるでしょう。このような環境下において米国債利回りは苦戦を続ける可能性があり、FRBがよりタカ派になれば、米国のイールドカーブをフラット化させ続ける要因になったとしても、過剰な供給と歯止めのない財政拡大を背景に、長期債利回りにとっては苦しい環境が続く可能性があると考えています。
一方、インフレ連動債によるブレークイーブン・インフレのポジションには本質的な価値があるとの見方を維持しており、市場参加者は物価の上振れリスクに対して過度に楽観的であると考えています。
中東情勢に目を向けると、市場は同地域における動向に対して日増しに鈍感になっているようです。全体的な評価としては、今後数週間のうちに和平案が成立し、ホルムズ海峡の再開が可能になる可能性が高いというものです。
しかし、合意が締結された場合であっても、次に何が起こるかという疑問を投げかける状況が続き、不確実な期間に突入すると考えています。そのような状況において、同地域でのボラティリティが高止まりする環境下で、ホルムズ海峡の断続的な開閉による供給混乱は続く可能性が十分にあると考えています。このような観点から、原油価格は4月末以降高値を更新していないものの、2026年の残り期間を通じて90米ドルを大きく下回ることはないと考えています。
エネルギー価格の高止まりとサプライチェーンの混乱により、今後数ヶ月間、世界的にインフレは高止まりすることになるでしょう。ガソリン価格は3月末以降安定していますが、投入コストの上昇が消費者に転嫁される中で、他の財価格に遅れてその効果が波及し、実際、生産者物価指数(PPI)は加速を続けています。
インフレの上昇が財価格に限定されていない点も興味深く、その点で言えば、ユーロ圏における5月のサービス価格インフレの前年比3.5%の上昇は、政策当局者の注目を集める可能性があるでしょう。その意味でも、欧州中央銀行(ECB)による今月の25bpsの利上げは既定路線のように見えますが、ラガルド総裁は経済面での不確実性の継続を挙げ、一連の追加利上げを示唆することに慎重になると考えています。
ECBは成長見通しの低迷から、過度にタカ派的になることを警戒するでしょう。しかし、事態がECB自身の悪化シナリオに沿って展開し続けた場合、9月の会合において追加利上げが検討される可能性も十分にあるでしょう。インフレに関するこれらの見解を踏まえ、米国だけでなくユーロ圏でも、インフレ連動債による取引の機会を引き続き選好しています。名目債券に関して言えば、ユーロ圏経済が米国と比較して相対的にはるかに弱含む見通しを踏まえれば、相対的にみてユーロ建て債が米国債をアウトパフォームする余地があるとみています。
日本では、日銀が今月の政策会合で政策金利を1%に引き上げ、年末に再びに1.25%に引き上げると予想しています。植田総裁のここ最近のコメントは、インフレの上振れリスクが高まり始めた場合、日銀は金融政策正常化のペースを加速することが適切であると判断する可能性があることを示唆しているようです。
日本における政策正常化の明確な道筋は、長期国債、そして円相場の支えとなる可能性がありますが、金融市場は、よりハト派的な政策スタンスを推進しようとする高市首相の政治的干渉を懸念してきました。しかし、高市氏の最近のコメントからは、そのようなアプローチが逆効果になる可能性があり、日本円の評価の更なる弱体化につながれば、自らの支持率を損なう可能性があることに対して理解を示し始めたように見受けられます。
英国の成長とインフレは、他国の状況と比べて、経済ショックに対してより脆弱に見えます。その点で言えば、英国の価格期待は他の経済で見られるほど十分に固定されていないように見受けられ、英国の消費者は(賃上げと給付金を交渉出来る限りは)価格上昇を受け入れることに抵抗が少ないようです。
その一例として、過去10年間に亘って英国では携帯電話料金の値上がりが広がっている一方、ユーロ圏においては低下傾向を維持しています。イングランド銀行(英中央銀行、BoE)が物価のオーバーシュートに対してある程度の寛容さを示唆しているように見えることから、英国の消費者物価指数(CPI)がユーロ圏の同指標を、少なくとも100bps継続的に上回ったとしても不思議ではないとみています。
しかし、英国におけるインフレに対する楽観的な姿勢は、国債発行のうち高い割合がインフレ連動ベースでの発行となっていることを踏まえれば、問題であることは事実でしょう。結果として、インフレのオーバーシュートは国の財政状況に直接的な影響を与えます。それを踏まえた上で、さらにここ最近のインフレや利回りの動き、加えて成長の鈍化を踏まえ、最大600億英ポンドもの収支不足を英予算責任局(OBR)が指摘する可能性があることも懸念されます。
これは、支出の拡大計画を持つ新首相が就任した場合は、目を背けたくなるような内容でしょう。それを踏まえれば、アンディ・バーナム氏が最近、懐疑的な英国債投資家と予定されていた面談をキャンセルしたことも、それほど驚くべきことではないかもしれません。バーナム氏は現在の財政枠組みへの順守を表明することで懸念を和らげようとしましたが、左派寄りへのシフトは確実に支出の増加をもたらし、それは不確実な税収増によって賄われることになると思われます。その点に関して言えば、税負担が既に高い中で、税率を引き上げてたとしても成長を損なえば、歳入を増やすことにはつながりません。
エマージング市場(EM)では、コロンビアの大統領選第一回投票で右派候補デラエスプリエジャ氏の勝利が市場にポジティブなサプライズをもたらし、コロンビア現地資産の価格を大きく押し上げました。トランプ大統領にも支持されている同候補者が決選投票において勝利し、より大規模な財政統合や、より市場友好的な政策を導入する可能性が非常に高いと思われます。
過去1年間、中南米の多くの国が、広範に右派候補に傾いている傾向を目にしてきましたが、これはおそらく米国主導のアジェンダに合わせようとするイデオロギー的な願望というよりも、不人気な現職を退けたいという願望によるものであると考えています。とは言いながらも、中南米の多くの国の資産の価格は魅力的な水準に映り、政治的なノイズから離れて見れば、基調的な経済ファンダメンタルズにおいても幾つかの良好なトレンドが見受けられるとみています。
マクロ経済面ではボラティリティや混乱が継続している感覚があるものの、クレジット市場の環境は今のところ良好です。企業は社債の発行を続けており、米大手ハイパースケーラーからの予想発行額は、急増する投資支出によって継続的に上方修正されています。緩和的な金融環境とネットベースで見たマネーサプライの増加によって、魅力的な絶対利回り水準を追求する投資家からの社債への需要が維持されています。
しかし、中央銀行がよりタカ派的になり、新たなインフレ圧力を抑制する観点から与信総量の伸びを抑制した場合、このような傾向が変化する可能性があるではないかとみています。一方で、社債スプレッドが株式市場の動きに密に追随しているため、ユーロ圏のような地域では特に、悪化している基調的なクレジットファンダメンタルズに再び投資家の注目を集めるためには、より大きなショックが必要かもしれないという感覚もあります。
今後を見据えると、市場参加者の注目は、スペースXやアンソロピック、グーグルからの巨額の株式発行に向けられるでしょう。これらは累積で約2,500億米ドルの新規資本を吸収することになります。その大半が、短期的な利益とモメンタムを投機的に追求する個人投資家から来ることから、足元ではビットコインやその他のデジタル資産の価格の急激な調整が見られており、これらの保有者が暗号資産の低調なリターンに飽き、モメンタムに飛びつこうとする傾向を反映したものとして興味深く捉えました。
このような観点で言えば、ある資産が流行からいきなり流行遅れになったとき、どのように苦戦するかを見ることは示唆に富んでいると言えるでしょう。少なくともビットコインについては、イスラム革命防衛隊(IRGC)の通行料徴収者がこの特定の資産の実際の用途を見出したようです。
その他の話題として、米国の独立250周年記念式典において、ホワイトハウスで格闘技が披露されることになるのは、何とも奇妙ながらも、ふさわしいように思えます。総合格闘技団体「UFC」の試合会場をホワイトハウスの敷地内に建設中であることから、トランプ政権の閣僚がその中で練習をするのではないかとも半ば冗談で考えてしまいますし、トランプ氏が大統領専用の黄金の玉座から格闘士たちが互いに打ち負かすのを見るのかどうかは興味深いところです。ジョージ・ワシントンやエイブラハム・リンカーンであれば果たしてこれをどう思うだろうか、という疑問も当然湧いてきてしまいますが……
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