大儲けしたなら、パーティーをしない理由はない

Jul 06, 2026

AIブームは勢いを増しています。

コメント要約
  • 米国経済:米国の雇用者数の伸びは事前の市場予想をやや下回りましたが、米労働市場が比較的堅調な状態にあることを示しています。一方で、設備投資の強さからみて、人工知能ブームがGDPの拡大を牽引し続けるとみられます。
  • 米連邦準備制度理事会の政策:ウォーシュ議長は手の内を明かさない可能性がありますが、他の複数の投票権を持つFOMCメンバーが、金利の引き上げについて議論することが適切であると考えていることは明らかです。
  • 欧州圏のインフレ:ドイツとフランスにおけるインフレ指標が比較的落ち着いていた一方で、天然ガス価格の高止まりは、今後数カ月間でインフレが目標に回帰する軌道を制約する可能性があります。
  • 英国の財政懸念:アンディ・バーナム氏がキア・スターマー氏から首相を引き継ぐことに伴う財政支出計画への注目の高まりによって、英国債がアンダーパフォームしました。
  • 日本円の弱含み:日本の国債利回りがアンダーパフォームしました。その一部背景は、米ドル/円相場における円安の進行によるものとみており、円は約40年ぶりの安値を付けました。

先週は、米国債利回りがほぼ横ばいとなりました。米国の雇用者数の伸びは事前の市場予想をやや下回りましたが、求人件数や新規失業保険申請件数、失業率といった指標は、米労働市場が比較的堅調な状態にあることを示しています。より広範に言えば、設備投資の強さからみても、人工知能(AI)ブームが(この先急速に冷え込まない限りは)GDPの拡大を牽引し続けるとみられます。実際、現時点ではその兆候はほとんどないように見受けられます。

とは言いながらも、キャッシュを急いで投じているハイパースケーラーの株価が低迷し、その支出の恩恵を受ける企業の株価が良好であることは興味深い点です。これは最終的には、マグニフィセント・セブンのどこか1社がAI投資の削減を発表すれば、同社の株価が上昇する可能性があるということで、他社もそれに追随する可能性も十分にあるということです。

しかし、そのような転換点に達したと結論付けられるような発言は、依然として企業幹部からは聞かれていません。したがって、当面は米国経済において、現在の状況が多かれ少なかれ継続すると推測することは妥当と思われます。

このような点を踏まえ、AIブームに起因する物価上昇圧力の高まりについては、引き続き注視する必要があるとみています。その点で言えば、先週アップル社が半導体コストの上昇を受けて同社製品の20%値上げを発表し、マイクロソフトのXboxでも同様の動きがあったことは示唆に富んでいます。今日、多くの製品において半導体への依存度が高まっていることを踏まえれば、これはグローバルのサプライチェーン全体における、より広範なコスト圧力を示唆している可能性があります。

したがって、仮に原油価格が中東紛争勃発前の水準に回帰したとしても、米国のインフレ率は高止まりするとの見方を維持しています。

米国経済において、現時点で実質金利がマイナス圏にあり、株式市場やクレジット市場の堅調さによって金融環境指数もサポートされていることを踏まえれば、金融政策による景気抑制効果は現在ほとんど見られていないようです。その点において、米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融政策は過度に緩和的であると結論付け、パウエル前議長が2025年に実施した利下げの巻き戻しが正当化されるであろうと考えたとしても無理はないでしょう。

ウォーシュ議長は手の内を明かさず、フォワードガイダンスを提供したくないと考えているようですが、他の複数の投票権を持つFOMCメンバーが、今や金利の引き上げについて議論することが適切であると考えていることは明らかです。

こうした状況において、9月の会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が(利上げに)動く可能性が高いと考えているものの、7月のFOMCでの利上げの可能性も完全には排除出来ないでしょう。その間でも、たとえ利上げ自体は先送りにしたとしても、タカ派的な姿勢を示すことで、長期債利回りとインフレ期待を抑制したいとFRBが考える可能性は極めて高いとみています。

結果として、米国債利回りの低下は困難となり、イールドカーブがさらにフラット化する可能性があるでしょう。しかし、現時点では米国債に対して明確な方向性を持ったバイアスは有しておらず、先物市場においては既に一定程度の金融引き締めが織り込まれていることにも留意しています。とは言いながらも、米国と海外市場との間で経済成長の差異が続いていることを鑑みれば、米国債利回りは他市場と比較してアンダーパフォームするとの予想を維持しています。

ドイツとフランスにおけるインフレ指標が比較的落ち着いていたことは、先週の欧州債券利回りの支援材料となりました。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁はシントラでの講演で、7月のECB会合での連続での急速な利上げには慎重な姿勢を示しました。しかし、カタールでの供給途絶が続いていることにより、天然ガス価格は中東紛争開始時の水準を40%上回る水準に留まっており、欧州各国が冬場に向けて在庫を積み増す必要があることを考えると、今後数カ月間でインフレが目標に回帰する軌道に制約がある可能性は留意すべきでしょう。

したがって、ECBが9月の会合で追加の金融引き締めを実施する可能性は五分五分であるとみており、ECBは2026年末までタカ派的なバイアスを維持する可能性があるとみています。

一方、ここ数週間、社債スプレッドが縮小に向かった一方、ユーロ圏のソブリン債スプレッドは拡大傾向にあります。この値動きには実質的なファンダメンタルズ要因は伴っていませんが、海外からの需要の減少がこれらの国債利回りにとってやや重石となっているように見受けられます。

歴史的に見て、例えば日本の投資家はフランス国債の最大の買い手の一角でしたが、日本国債の利回り面での魅力が高まったことから、フランス国債に対する日本の投資家からの需要は減少していると見られています。現時点ではユーロ圏のソブリン債においてアクティブなポジションは保有していませんが、10年債で85bps前後のスプレッド水準では、イタリアとフランスのどちらも長期的に興味深い投資価値があるかもしれないと考えています。

英国では、アンディ・バーナム氏がキア・スターマー氏から首相を引き継ぐことに伴う財政支出計画への注目の高まりによって、英国債がアンダーパフォームする一週間となりました。

今週発表された防衛投資計画(DIP)によって、GDP比2.7%という計画水準以上に防衛費を引き上げる以前の段階で、既に国家財政において50億英ポンドが不足していることが明らかになりました。バーナム氏の顧問らは、この財源不足を賄うために「戦時国債」を発行するというアイデアを提案しようとしているようです。しかし、英国の債券投資家は、これは別の名前が付けられた英国債に過ぎないことを理解しており、この点からすれば単に負債による支出を追加するものです。

新首相には、投資を増やすことにコミットしている分野が他にも多数あるようですが、政治的な現実としては、今後数週間で困難な選択に直面することになるでしょう。増税は可能性としてありますが、これは経済センチメントと成長に重石となるだけであり、最終的には首相就任後の比較的早い段階で、金融市場が同氏の決意と財政持続可能性へのコミットメントを試すことになっても驚きではないでしょう。

過去数週間、多くの投資家がバーナム氏の言葉を信じ、財政の枠組みが尊重されると期待しているようです。これは、バーナム氏がウェス・ストリーティング氏を財務大臣に選ぶのではないかという市場の期待にも見て取れます。

しかし、我々の分析に基づくと、ストリーティング氏は財務大臣候補としては可能性が低いと考えています。この背景に、英議会の労働党では「穏健左派」がキャスティングボードを握っていることに留意する必要があるでしょう。その点で、金融市場参加者からは否定的に受け取られているものの、エド・ミリバンド氏が引き続き有力な候補であるとみています。

したがって、今後数週間で英国債市場がアンダーパフォームしたとしても不思議ではないものの、バリュエーションが他の多くの市場よりも魅力的に見える市場において、ショート・ポジションを取る材料は見出せず、英国の政治が高いストレスに晒され、より魅力的な購入タイミングが訪れるのを待ちたいと考えています。

先週は日本の国債利回りがアンダーパフォームしました。その一部背景は、米ドル/円相場における円安の進行によるものとみており、円は約40年ぶりの安値を付けました。これまでの当局の介入が円相場の安定化につながっていないことは、円の更なる弱含みにつながるリスクがあり、それが国内のインフレに影響を及ぼします。これは日本の有権者にとって非常に不人気となり、最終的には高市首相の立場を損なう可能性があるとみています。高市氏は日銀に緩和的な金融政策を維持するよう働きかけてきた責任があり、現在日銀はかなりビハインド・ザ・カーブとなっている(後手に回っている)ようにも見えます。

今四半期の企業センチメントに関する短観調査で見られた力強い加速は、日本経済の基調的な強さを浮き彫りにしており、その詳細を見れば、物価の上振れリスクが高まり始めているように見受けられます。

今後14年間で37兆円(2.1兆米ドル)という規模の投資計画の発表は、GDP拡大への決意をさらに固めるものです。これはあくまでも意欲的な目標とみなされるかもしれず、2026年または2027年中の日本国債の発行増加につながるとは考えていませんが、潜在成長率の上昇は中立的な金利水準の上昇を示唆する可能性があり、これが高い利回り水準を維持する要因となり得るとみています。しかし、超長期国債利回りが4%の水準にあり、日本のイールドカーブが非常にスティープであることからも、短期金利の上昇は、長期金利の上昇を必要とせずに、比較的容易に調整される可能性があるとみています。

日本の財政の軌道については特段懸念しておらず、債券投資家として、インフレ率が急激に上昇する場合をより警戒しています。今のところ、日本の消費者物価指数(CPI)の上振れ圧力は抑制されていますが、円安がインフレ見通しの悪化につながる可能性はあるとみています。

円に関しては、現時点でアクティブなポジションは保有していません。短期的には、今後数週間で介入があることでさらなる円安が抑制されることを期待していますが、政策当局者が考え方を変えない限り、円の更なる下落リスクは高まっているようにも見受けられます。

その他は、米国の休日を挟むやや短い週であったこともあって、クレジット債市場やエマージング市場における動きは比較的穏やかでした。

今年の後半を展望する

今年の後半を展望すると、米国経済やFRBの政策の将来の道筋を正しく判断することが、今後数週間でのポートフォリオのポジショニングの成功の鍵となるでしょう。この点において、FOMCは議長を擁する委員会として機能しており、金融政策に関する決定はケビン・ウォーシュ氏によって左右される、または支配されるわけではないことを思い起こす必要があるでしょう。つまり、FRBの政策金利はケビン・ウォーシュ氏(あるいはドナルド・トランプ氏)によって決定されるものではありません。

また、多くの運用担当者がFRBは利上げをしないと信じたいようであり、この考え方は社債や株式、プライベート市場で最も顕著です。これは潜在的な脆弱性を浮き彫りにする可能性があります。つまり、仮にFRBが利上げした場合、それを正当化するタカ派的な声明は、その後のさらなる利上げへの期待を高めることになるでしょう。

米国で独立250周年を祝う週末を迎えようとしている中、過去1世紀で支配的なグローバル超大国の地位に上り詰めたこの国の現状を把握するにあたっては、興味深いタイミングであると考えています。この先を見据えると、明るく希望に満ちたことは多くありますが、この国が今後50年間、ましてやさらに250年間繁栄し続けるためには、克服しなければならない重要な断層や新たな課題が存在します。

重要なこととして、AIの台頭は、より再分配的な税制に長年抵抗してきた国において、富の集中を加速させるリスクがあります。ソーシャルメディアではバイアスが見られ、尊重や寛容などの価値観が衰退しているように見える時代において、多くの一般的な米国人の実質所得の停滞は、より政治的に極端な結果をもたらすリスクがあります。気候変動は現在権力を握っている人々にとって差し迫った懸念には見えないかもしれませんが、必然的に再び浮上するテーマであり、資源をめぐる競争を激化させるでしょう。

米国(および世界中の多くの国)が直面している課題の多くは、十分に長期的な視点を持った、堅実な政策立案を必要とします。しかし、我々が住む世界はますます短期的な見返りに焦点を当てるようになってきているように見え、これは金融市場において特に顕著です。

この点で言えば、ここ数週間の半導体株で起こっていることを、カジノ的な投機的投資の一形態として見ざるを得ません。スマートフォンに依存した社会において、我々はみな、短期的なドーパミンの放出に依存するようになってしまったようで、米国では、トランプ氏がこれを理解し、自身に有利な形で活用出来ているように思われます。

その意味で、過去1年間に亘る失敗や失策のリストは増える一方であるにも拘わらず、また市場が下落する中においても、米大統領が暗号資産投資において10億米ドルの利益を計上したことは確かに賞賛に値するでしょう。トランプ氏がパーティーを楽しむ気分になっているのも無理はありません。しかし、果たして同氏のMAGA支持者の多くが、同じように富を得ているのかどうかは疑わしいところです……

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