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コメント要約
先週は、今年後半の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げに対する市場参加者の期待が高まる中、米国債利回りが低下基調となりました。
米国は先週末にイランに対する軍事攻撃を開始し、トランプ大統領の忍耐がイスラエルとイランの間の対立に終止符を打ったとの見方が広がる中、原油価格は「12日間戦争」以前の水準に回帰しました。これにより、目先の短期的なインフレ懸念の一部も払拭されました。
6月の消費者物価指数(CPI)に関する初期分析も、この先の一連の米国の物価指標が比較的穏やかである可能性を示唆しており、関税による物価上昇が指標に反映されるのはこの夏の後半になりそうです。
この点に関して、ウォーラー氏やボウマン氏はFRB内のコンセンサスから離れ、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利下げ実施を主張し始めました。実際これが起こる可能性は低いと考えていますが、インフレ予測が大幅に上振れない限り、パウエル議長への政治的圧力が今後数ヶ月で高まるのは避けられないように思えます。
そのような見方に基づき、今年9月と12月のFRBの利下げを織り込むことは極めて理にかなっているとみており、米政策金利の道筋に関する足元での市場の織り込み具合に特段違和感はありません。
一方、長期債利回りは足元の短期債利回りの低下に遅れをとっており、我々の見方と同様に、米イールドカーブのスティープ化につながっています。このような傾向は今後数週間に亘ってさらに進むと考えており、30年債に対して2年債のポジションを引き続き選好しています。
今後、トランプ氏が次期FRB議長を早期に指名するとの噂が強まっていく可能性があります。この点に関しては、パウエル氏の頑固さに対する政権の不満が増す中、候補者は、他のトランプ氏の指名同様に、政権への忠誠心や政権の意向を実現することへのコミットメントに基づいて選ばれる可能性があるでしょう。
これは、短期的なインフレ動向に関係なく利下げを実施することを示唆するため、市場参加者は短期債利回りが低下し、長期債が逆方向に動く可能性があると結論付けるかもしれません。
米国の予算が来月の休会前に成立するとみられる中、長期債利回りに関する懸念も続く可能性があるでしょう。
予算調整(Reconciliation)の下で合意を成立させなければいけないというプレッシャーは、今後数週間で共和党内での歩み寄りが見られることを示唆しています。結果として、関税収入が2,500億米ドルから3,000億米ドルにのぼるにも拘わらず、財政赤字はGDPの約7%となる見込みです。
このような状況において、米国の債務水準の上昇に対する懸念が早期に和らぐことはないでしょう。トランプ氏は財政赤字を削減すると主張しているものの、同政権が税金を引き上げたり、実質的な支出削減を行う意向は見られません。したがって、赤字を削減する可能性がある唯一の要因は、借入コストが明確に低下した場合でしょう。
このことが、トランプ氏が利下げを望み、債務の償還特性をより短期に傾ける計画を示すことにつながっています。しかし現実的には、経済環境がより大幅に悪化しない限り、金融環境の大幅な緩和は難しいとみられます。
またその他、借入コストを低下を望む姿勢が、最近の補完的レバレッジ比率(SLR)変更のきっかけにもなっているようで、銀行にとって米国債を保有することをより魅力的にしようとしています。しかし、銀行にとって長期債購入が魅力的となるのは、イールドカーブが現状よりもスティープである場合のみかもしれません。
トランプ大統領の言動は、ここ最近のG7および北大西洋条約機構(NATO)サミットにも大きな影を落としています。後者の場合、マルク・ルッテ事務総長は「パパ(ダディ)」と呼んでトランプ氏を持ち上げ、トランプ氏のアジェンダを推進し、加盟国に対して2035年までにGDPの5%を防衛及び安全保障に費やすよう促しました。
ある意味、このような従順さは、ドイツが直近発表した予算緩和計画を考慮すれば、それほど驚くべきことではなかったと言えるでしょう。しかし、欧州が王様に媚びを売り、彼をNATO同盟の一部に留めようとする姿勢は、多くの欧州政府における不快感を強める要因となることでしょう。
またこれは、この先の貿易交渉におけるEUのより強硬な姿勢につながる可能性があります。7月9日の米国関税期限については延期されると予想していますが、貿易協定の交渉が進展していないことを踏まえれば、この先二週間、同期限が近づくにつれて、貿易面での緊張は高止まりする可能性があると考えています。
トランプ氏が比較的高い支持を得ている中、同氏は政権のアジェンダに対するコミットメントを示すため、追加関税を発表する可能性もあると考えています。この点において、EUの製薬業界に焦点が当たるかもしれません。同様に、この期限が過ぎればEUの報復関税も発動される可能性が高いとみています。
その意味で、金融市場においては貿易リスクに対する慢心が存在しているとの見方を維持しています。4月2日の再来はなさそうですが、トランプ氏の下では、ボラティリティの上昇と平穏な期間が交互に訪れる可能性が高いと考えています。その意味で、4月後半から続いているように見受けられる平穏な期間は終わりに近づいている可能性があるでしょう。このような見方に基づき、リスク資産へのエクスポージャーに関しては比較的慎重さを維持するべきであると考えています。
ユーロ圏では、防衛に紐付いた財政支出の大幅な増加が、既に国債の供給増につながっています。このような観点から、今後10年間ではドイツが追加で1兆ユーロのドイツ国債を発行するとみており、これは既存の国債残高を50%以上増加させることを意味します。これは供給の観点から、利回りを試す要因となるでしょう。
またこのような財政刺激は、域内の成長をより強く押し上げる要因になるとみられ、結果として追加の金融緩和の必要性を低下させることになるでしょう。したがって、ユーロ圏の国債利回りは現在の水準からさらに大きく低下するのに苦戦するとみています。ただし、通貨ユーロ及び欧州資産への資金流入の増加は、国債利回りの支援材料になり得るとみています。
ドイツ10年国債利回りは約2.5%となっており、同水準は概ねフェア・バリューに近いとみています。同様に、現時点においてはユーロ圏の国債スプレッドに関しても、それほど目立った投資妙味は感じられません。
英国に目を向ければ、スターマー政権のNATOの要請へのコミットメントは、同国の財政面での悩みの種を増大させています。福祉改革に関する抗議の声を受け、目先政府がUターンを迫られる可能性があり、多くの国民は政府手当の支出増を望んでいるようです。その意味で、防衛に多くの資金が投入されようという時に、他の領域で財政規律を示すことも難しそうです。
多くの点から、スターマー氏は運命の人質となっているかのようです。トニー・ブレア氏が労働党の党首として米国や、イラクに関する米国との「特別な関係」に背を向けることが不可能であると感じたのと同様に、スターマー氏もまた、防衛支出の増大計画に従わざるを得ませんでした。
しかし、同氏はこれが後回しにされることで、現政権が目先増税をしたり、その他で支出を削減したりすることを迫らないよう望むことでしょう。
このような観点から、リーブス財務相とスターマー首相の財政面でのある種の綱渡りは続くとみられます。例えば、以前のネット・ゼロへのコミットメントの放棄という難しい選択を迫られるかも知れません。しかし依然として、多くの材料が同国が財政緩和に向かう方向性を示唆しています。
このような文脈において、政策当局者としては、英国債市場がタントラム(癇癪)を起こさないことを望んでいることでしょう。英国のインフレ及び財政状況に関する継続的な懸念を踏まえ、英国債及び英ポンドに対してはやや弱気な見通しを持っています。
現時点においては目立った英国のポジションを保有していませんが、英10年国債利回りが4.40%を下回って低下した場合には、明確なショート・スタンスに移行するための魅力的なエントリーポイントとなるかも知れません。
日本政府が米国側の防衛支出増加要求に反発していることから、日本と米国との貿易協定はまだ先の話となっています。
また日本では、7月20日に参議院選挙が控えており、世論も厳しくなってきています。しかし、政策当局者との会話を踏まえると、日本は4月2日の米国の発表に関して米国からの裏切りを感じており、長年の同盟国からより良好な待遇を受けるに値すると感じているようです。
金融市場の観点から言えば、貿易面での進展がないことによって、日銀は当面の間、ハト派姿勢を維持する可能性が高いとみられます。その場合、しばらくの間、イールドカーブも現状の水準に近い状態で取引されるとみています。
しかし、この先数ヶ月で見れば、インフレ率の上昇が金融政策正常化への圧力を再燃させ、日本国債の10年/30年スプレッドのフラット化や短期利回りの上昇につながるとみています。
為替相場では、米利下げの見通しが米ドル安の流れを助長し、米ドル指数は一時3年ぶりの低水準を付けました。投資家の資金フローのデータによれば、過去数ヶ月の動きの多くは、アジアの投資家がヘッジ比率を増やしたことによるものであるようです。
これまでのところ、海外投資家による米国資産の売却の動きを示す目立った証拠は見られていません。しかし、資産配分を米国から移動させる流れは見られており、既存の保有資産の売却につながらなかった場合でも、今後の貯蓄の流れは米ドルや米国市場から離れていくとみられます。我々が面談する多くの投資家が、米国資産に対する過度な配分を打ち明けることも事実です。
このような点から、米ドル安の傾向は今後数ヶ月でさらに進む可能性がありますが、短期目線での投機的なポジションの積み上がりにはやや警戒しています。例えば、4月2日に見られたようなボラティリティ・ショックが、より広範なリスク回避とポジション削減を引き起こした場合、結果として米ドル高となる可能性も十分にあります。
この観点で言えば、リスクオフの動きにおける為替相場の反応は、4月2日に見られたものとはかなり異なるものになる可能性もあります。通貨の中では、足元で韓国ウォンを引き続き選好しています。また、他の通貨に遅れをとっている人民元についても直近ロング・ポジションを積み増しました。欧州では、今週の原油価格の落ち着きによりアンダーパフォームしていたノルウェー・クローネのポジションも追加しました。
先週は、中東の緊張が緩和される中、クレジット市場も底堅く推移しました。我々が注目しているトピックの一つとして、幾つかのクレジット資産クラスにおける年間のクーポン支払いが、純供給額を相殺するのに役立っているという点が挙げられます。
数年前、クーポン支払いははるかに控えめで、供給と需要を一致させるためには、クレジットに新たな資金が配分される必要がありました。しかし、クレジット債市場の需給面は現在、より底堅い状態にあります。
また、欧州の財政支出拡大が、同地域の景気後退リスクを低下させていることも好材料です。景気後退はクレジットの悪化リスクのきっかけとなる要因であるため、景気後退リスクが低い、または低下している限り、クレジットは国債をアウトパフォームするとみています。
リスク資産全般に対する市場の慢心に対しては引き続き懸念を抱いているものの、中東の緊張が高まる中で追加したヘッジ・ポジションの一部については足元で解消しました。しかし、バリュエーションが魅力的ではないことから、比較的慎重な姿勢を維持することが賢明であると判断しています。したがって、市場が下落した場合にポジションを追加することが出来るポジションを選好しています。
投資適格のソブリン債ユニバースにおいては、引き続きルーマニアのユーロ国債をトップピックとして選好しています。5月中旬の選挙以降、同国内の政治的リスクが低下し、ルーマニアのユーロ建て国債のスプレッドは年初の水準まで回復しています。引き続き、財政赤字と経常赤字は同国の懸念材料ではあるものの、ドイツ国債に対して350bpsのスプレッドは、グローバルに見れば負債の残高水準が低いという点でも、同国の信用リスクに対する十分なスプレッドを提供していると考えています。
来週は米国の独立記念日の祝日により、月次の雇用統計の発表が木曜日に1日早まります。
ここ数週間、米国の経済指標のトレンドにやや軟化傾向が見られています。経済活動の軟化を示す指標は利下げへの期待を高める可能性があり、イールドカーブのスティープ化に備えたポジションの追い風となり、米ドルを幾らか軟化させる要因になると考えています。しかし、FRBの考え方や利回りの動きを左右するという意味でより重要なのは、月中に発表されるインフレ指標であり、より決定的な役割を果たす可能性が高いと考えています。
とは言いながらも、今後数週間を見据えれば、経済指標の発表よりも貿易関連のニュースが、価格変動におけるより支配的な要因となる可能性が高いかもしれません。
「ビッグダディ」は勢いに乗っており、彼の主張は日増しに支持を得ているようです。実際、最近のニューヨーク市長選挙で左派のゾーラン・マムダニ氏が勝利したことは、昨年10月の選挙以来、民主党が混乱状態にあることを示しています。
ここでの金融市場に対するリスクは、トランプ氏が強気となり、アメリカを再び偉大にする計画を倍増させることを決めた場合でも、抑制力がそれほど働かないことかもしれません。
投資家にとっての疑問は、これが新たなボラティリティ上昇期をもたらすのか、それとも世論やFRB、各国政府、金融市場が揃って、「ビッグダディ」の指示に従うのか、ということです。
このような疑問を踏まえ、依然として慎重な見方が必要であると考えています。いずれかの段階で、プッシュバックが起きる可能性は高いでしょう。
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