巨額の「配当金」

Sep 14, 2026

上げ(hike)をするか、辞めるか(take a hike)

コメント要約
  • 国債市場への圧力:先週も、国債市場に対する圧力は続き、コモディティ価格の上昇や中央銀行が積極的に利上げを行うとの見方から、債券利回りは急上昇しました。
  • CPI(当コメント執筆時点で)この後発表される予定の8月のCPIを控えています。ジャクソンホール会合でのケビン・ウォーシュFRB議長のタカ派的な発言により、9月の利上げ観測が強まり、現在、市場は約70%の確率で利上げを見込んでいます。コンセンサスと一致する(CPIの)数値が出れば、ウォーシュ氏とFOMCメンバーは政策金利を25bps引き上げると考えています。
  • ECBの金利政策引き締め:ECBは25bpsの利上げを実施し、政策金利は2.50%となりましたが、ECBは会合ごとに政策金利を決定し、フォワードガイダンスのない世界に移行しようとしています。足元の市場では、2027年半ばまでに3回以上の追加利上げが織り込まれており、ターミナルレートは3.00%を大きく上回る水準となっています。
  • 日本:注目が集まる政府の内閣改造において、高市政権の中核メンバーは残り、財務相には片山氏が留任する見込みとなっています。ここ最近のメディアリークにより、今週の日銀会合での25bpsの利上げはほぼ確実と見られています。
  • ブラジル総選挙:10月のブラジル大統領選挙の世論調査が拮抗し始めており、より市場友好的な候補者であるフラビオ・ボルソナロ氏が現職のルラ氏に迫っています。金融市場では為替と金利市場に既にかなりのリスク・プレミアムが織り込まれています。

先週も、国債市場に対する圧力は続き、コモディティ価格の上昇や中央銀行が積極的に利上げを行うとの見方から、債券利回りは急上昇しました。

中東情勢に改善が見られず、ブレント原油が1バレル100米ドルを再び上回る中、欧州のTTF天然ガス価格も今サイクルの最高値を更新しています。株式市場のボラティリティもここ数日で上昇し始めていますが、ハイテク及び人工知能(AI)セクターに対する概ね楽観的なセンチメントは継続しており、リスク資産全般は(今のところ)底堅く推移しています。

(当コメント執筆時点で)この後発表される予定の8月の米消費者物価指数(CPI)を控え、市場では緊張感が高まっています。ジャクソンホール会合でのケビン・ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長のタカ派的な発言により、9月の利上げ観測が強まったことを思い起こしています。現在、市場は約70%の確率で来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを見込んでおり、コンセンサスと一致する(CPIの)数値が出れば、ウォーシュ氏とFOMCメンバーは政策金利を25bps引き上げ、3.75~4.00%にすると考えています。最新の米雇用統計では、8月に16万2千人の雇用増で、コンセンサス予想を大幅に上回る結果となり、米経済活動が引き続き比較的堅調であることを示す、更なる証拠となりました。

欧州では、先週の欧州中央銀行(ECB)会合で25bpsの利上げが実施され、政策金利は2.50%となりました。クリスティーヌ・ラガルド総裁は今回の利上げを「当然の判断」としましたが、ECBは会合ごとに政策金利を決定しており、確実であることや決定されていることは何もない、ということを強調しました。2027年のインフレ予測は上方修正されましたが、ラガルド総裁が、予想よりも成長は底堅く、インフレは穏やかであったと指摘したことを興味深く受け止めました。

ECBはFRBに追随し、フォワードガイダンスのない世界に移行しようとしています。これを受けて、欧州の利回り(特に曲線の短期ゾーン)は急上昇しました。足元の市場では、2027年半ばまでに3回以上の追加利上げが織り込まれており、ターミナルレートは3.00%を大きく上回る水準となっています。利回りの上昇は短期債に限定されておらず、ドイツ10年債利回りも過去1週間で10bps上昇しました。

市場はある種の投げ売り状態となっており、これにより利回りはオーバーシュート領域に押し上げられています。当社では現在の水準には投資妙味があると考えていますが、テクニカル面を懸念しており、今週のインフレ指標やFRB会合の結果次第では、この動きがさらに加速する可能性があるため、今のところポジションの積み増しは手控えています。

英国では、今週予定されている重要な金融政策委員会(MPC)会合を前に、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)のメンバーが議会証言を行いました。今のところ、BoEは政策金利を据え置くことに満足しているようで、エネルギー及びコモディティ価格上昇の二次的影響に関するデータを注視しているようです。

英国企業のCFOを対象とした最近のDMP(Decision Maker Panel)調査では、この先来年に掛けて賃金が低下すると予測されており、その点である程度の安心感が得られました。しかし、食品飲料連盟が公表した最近のレポートでは、食品価格が2027年半ばまでに前年比6%上昇するとの予想がされており、インフレの上振れリスクは高止まりしています。

したがって、二次的なインフレ効果が抑制された状態がどれだけ続くのか、また、総裁を含むハト派寄りのメンバーが、市場の利上げ期待を最終的に認めるまで、どの程度持ち堪えられるのかは依然として不透明です。

政治的には、高インフレや高金利、そして高い支出ニーズ(防衛)が、予算編成が近づく中でヒーリー財務相にとっての頭痛の種となっています。現在の同氏の戦略は、予算編成前に「あまり発言せず、あまり行動しない」ことで、波風を立てないようにすることのようですが、政治的に難しい決定を先送りすることで有名であった前任者のようになり兼ねないリスクがあります。現時点では、当社は英国債のポジションを保有していませんが、英ポンドについてはアンダーウェイトを維持しています。財政上の何らかの問題が起これば、今後数カ月間で英ポンドは圧力を受ける可能性があるものの、上振れ方向という意味では、英ポンドの上昇を正当化するような材料はほとんど見当たりません。

日本では、注目が集まる政府の内閣改造において、高市政権の中核メンバーは残り、財務相には片

山氏が留任する見込みとなっています。片山氏については、2027年度の予算編成や市場の評価を踏まえ、去就が注目されていました。今のところ、「責任ある積極財政」という自身の考えをアピールするために、X(旧Twitter)など公の場に登場しているのは、むしろ高市氏自身です。

ここ最近のメディアリークにより、今週の日銀会合での25bpsの利上げはほぼ確実と見られています。ベッセント米財務長官からのさらなる発言や、ポジションの投げ売りによって円高が促されています。50bpsの利上げとの見方も浮上していますが、日本では物事が通常、段階的かつコンセンサスを重視して進展する傾向があることを踏まえれば、当社ではその可能性は低いと考えています。ただし、当局からの発信という意味では、加速したペースでのさらなる金融政策正常化を示唆し、今後数カ月間、すべての会合が「ライブ」となる可能性を高めることになると予想しています。当社では、4%を超える日本の30年国債利回りには引き続き構造的に投資妙味があるとみていますが、円については、相場が落ち着いた際には上昇局面での売却を検討する方針です。

エマージング市場(EM)では、10月のブラジル大統領選挙の世論調査が拮抗し始めており、より市場友好的な候補者であるフラビオ・ボルソナロ氏が現職のルラ氏に迫っています。最近まで、世論調査ではルラ氏が4期目の勝利を見据えて断然有利な位置にあることが示されていたため、金融市場では為替と金利市場にかなりのリスク・プレミアムが織り込まれる展開となっていました。

当社では、ルラ氏が勝利した場合でもファンダメンタルズの展開について楽観的な見方を持っており、ルラ氏が勝つか否かに拘わらず、ブラジル資産には過剰なリスク・プレミアムが織り込まれていると考えています。さらに、フラビオ・ボルソナロ氏がルラ氏に迫り続ければ、今年初めにコロンビアで見られた展開と同様に、大幅な巻き戻しトレードが起こる可能性があるとみています。ブラジルは引き続き当社が選好する投資ストーリーの一つです。

今後の見通し

今後を見据えると、借入コストの上昇が経済成長に悪影響を及ぼす兆候はほとんど見られていませんが、この点は注意を払う必要があるかも知れません。とりわけ、金利に敏感なセクターへの波及効果についてはそのことが言えるでしょう。

米CPIの内容は、今週のFOMCにより決定的な見通しを提供し、今後数週間の債券利回りとリスク資産の状況を左右する可能性があるとみています。一つ確かなことは、当初の幾つかの失敗を経て、ウォーシュ氏の信頼性に関しては依然として議論が尽きず、利上げ(hike)をするか、辞めるか(take a hike)といった状況になる可能性があるということです!

一方、トランプ米大統領の最新の政策発表や信頼性については、そういった議論はありません。共和党が中間選挙で上下両院で過半数を維持した場合、全国民に対して(赤字によって賄われる)5,000米ドルの「配当金」を配るというトランプ氏の約束は、困難に直面している米財務長官にとって最も聞きたくないことであったに違いありません。 

本資料はブルーベイ・アセット・マネジメント・インターナショナル・リミテッド(以下、当社)が情報の提供のみを目的として作成したものであり、特定の投資商品の取引や資産運用サービスの提供の勧誘又は推奨を目的とするものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。本資料は信頼できると判断した情報に基づき作成しておりますが、当社がその正確性、完全性、妥当性等を保証するものではなく、その誤謬についての責任を負うものではありません。本資料に記載された内容は本資料作成時点のものであり、今後予告なく変更される可能性があります。また、過去の実績は将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。なお、当社の書面による事前の許可なく、本資料の全部又は一部を複製、転用、配布することはご遠慮ください。当社との金融商品取引契約の締結にあたっては、下記の投資リスク及びご負担いただく手数料等について契約締結前交付書面等を十分にお読みいただきご確認の上、お客様ご自身でご判断ください。

 

投資リスク
当社との投資一任契約に基づく運用においては、原則、外国籍投資信託を通じて、主に海外の公社債、株式、通貨等の値動きのある資産に投資しますので、基準価額が変動します。従って、契約資産は保証されるものではなく、投資元本を割り込むことがあります。運用による損益は全てお客様に帰属します。主なリスクとして、価格変動リスク、為替変動リスク、金利変動リスク、信用リスク、流動性リスク、カントリーリスク等があります。また、デリバティブ取引等が用いられる場合、デリバティブ取引等の額が委託保証金等の額を上回る元本超過損が生じることがあります。なお、投資リスクは上記に限定されるものではありません。

 

手数料等 
当社の提供する投資一任業に関してご負担いただく主な手数料や費用等は以下の通りです。手数料・費用等は契約内容や運用状況等により変動しますので、下記料率を上回る、又は下回る場合があります。最終的な料率や計算方法等は、お客様との個別協議により別途定めることになります。

 

Fee table

 

なお、上記には、投資一任契約に係る投資顧問報酬、外国籍投資信託に対する運用報酬が含まれます。この他、管理報酬その他信託事務に関する費用等が投資先外国籍投資信託において発生しますが、契約内容や運用状況等により変動しますので、その料率ならびに上限を表示することができません。