熱風が炎を煽る

Jul 27, 2026

ウォーシュFRB議長の発言が控えていますが・・・冷静な行動をとるべきです!

コメント要約
  • 中東情勢:中東における緊張の継続がホルムズ海峡を通じた貿易の流れを妨げ、エネルギー価格やグローバル債券利回りに上昇圧力を掛ける状況が続きました。
  • 米金融政策:ウォーシュ議長は今週の米連邦公開市場委員会会合においてタカ派姿勢をとると予想されるものの、米連邦準備制度理事会の利上げは9月の次回会合まで先送りされる可能性が高いように思います。
  • 欧州インフレ懸念再燃:天然ガスの価格は足元で今年3月の高値水準に戻っており、このことは2026年後半に公共料金が大幅な上昇圧力に直面することを意味しています。
  • 英国財政の脆弱性:バーナム政権は財政規律維持のための具体的な措置は提示せず、新たな支出計画を発表しており、この状況は政策上の失敗につながる可能性があります。
  • 慎重な見通し:夏季休暇シーズンには、市場の流動性が低下し、市場変動のリスクが高まる可能性があることから、将来のリターンの可能性において、より有効な非対称性を持つと思われる取引へのエントリー・ポイントを待つことが賢明と考えています。

先週も、中東における緊張の継続がグローバル債券利回りに上昇圧力を掛ける状況が続きました。エネルギー価格の上昇により、インフレ圧力への懸念や、今後数カ月における金融政策の引き締めの必要性が再び意識される展開となりました。

しかし、ペルシャ湾を挟んだ報復攻撃の応酬は、ホルムズ海峡を通じた貿易の流れが近い将来に正常化する余地がほとんどないことを示唆している一方で、米政権には、イランの領土に地上軍を派遣するような、長期的な紛争に対する意欲がほとんどないであろうとの根強い認識が残っています。

このような状況において、今後数週間のいずれかのタイミングでは協議を再開させる場に戻るとの期待が市場に内在しており、結果として現時点ではリスク資産への波及は概ね限定的なものとなっています。

米国の中間選挙が近づき、イラン戦争のコストに対する反発が米国内で高まり続けていることから、トランプ大統領は恐らく近いうちに方針転換を図るのではないかと考えています。一方、イラン政権は相変わらず要求に譲歩しない姿勢を示しており、米政権の虚勢を見抜く立ち位置を確保していると踏んでいる可能性が高いでしょう。

しかし、これは危険な「チキンゲーム」の構図を生み出しており、トランプ氏はイランの抵抗に屈したと見られることに激しく抵抗するでしょう。これは予測不可能な結果と厄介な事態を招く可能性があり、このような潜在的なボラティリティを踏まえれば、投資家がノイズを見過ごし、明確な投資判断を下そうとすることは、ほとんど報われないように思われます。

この場合、将来のリターンの可能性において、より有効な非対称性を持つと思われる取引へのエントリー・ポイントを待つことが、最も理にかなった投資行動であるように思われます。その間に、大きな市場の調整があれば、リスク資産のロング・ポジションを取るはるかに魅力的なエントリー・ポイントとなり得るとみています。

米国では、28日と29日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が注目されており、政策引き締めに関して何らかの議論が行われることは明らかなようです。しかし、先月のインフレ指標の低下を受けて、ウォーシュ議長は即座に行動するプレッシャーを感じていない可能性があり、決定は9月の次回会合まで先送りされる可能性が依然として高いように思います。

とは言いながらも、その時点で米国経済が堅調さを維持し、原油価格が現在の水準近辺で推移し続けるのであれば、秋には25bpsの利上げがあると予想されるべきです。原油そのものは1バレル100米ドルを下回ってはいるものの、現実には精製品において、はるかに大きな痛みが生じています。つまり、クラック・スプレッド(原油と精製製品の価格差)が歴史的に見ても大きく拡大しており、WTI原油価格が1バレル当たり130米ドル近辺に相当するように思います。

ガソリンやディーゼル価格の上昇が消費財の価格により広く波及していく中で、米国のインフレ率は市場が織り込んでいる以上に高止まりする可能性が高いと考えており、結果として米国のインフレ・スワップは過小評価されているとみています。

それ以外では、実際にはまだ何もしていないながらも、自身がタカ派であり、インフレ・ファイターとしての実績を強化するために出来る限りのことは何でもするとウォーシュ議長が見せたいことは極めて明確です。これは当面、米国のイールドカーブのさらなるフラット化を促す可能性があります。しかし、米国の財政状況が悪化し続け、トランプ氏による中東戦争の費用が上昇し続けていることから、最終的にはこれが後々、再びイールドカーブのスティープ化を促す要因となる可能性があると考えています。

欧州では、天然ガス価格がはるかに重要なインフレ要因となります。欧州のエネルギー供給業者は、夏場に価格が下落する可能性に期待し、冬に向けた在庫の再構築を手控えてきたようです。

しかし、TTF先物は足元で今年3月の高値水準に戻っており、このことは2026年後半に公共料金が大幅な上昇圧力に直面することを意味しています。これによりユーロ圏のインフレ率が上昇することから、先週の欧州中央銀行(ECB)会合において、ラガルド総裁から比較的タカ派的なメッセージが聞かれたことは驚くべきことではなく、9月の会合では今回の利上げサイクルにおいて2回目となる25bpsの利上げが広く予想されています。

そんな中、国債利回りが数年来の高水準となっていることで、債務負担が大きい国にとってはより大きな財政圧力が生じており、これがスプレッドを拡大させる要因となっています。このような状況を踏まえ、当社ではイタリア国債についてアンダーウェイトのスタンスへと移行しました。

イタリアは債務水準が高いだけでなく、電力の大部分をガスに依存していることから、中東ショックに晒されています。さらに、低成長の環境において、2027年に予定されている選挙も、政治的ボラティリティが再燃するきっかけとなる可能性があります。

相対的に見れば、ブルガリアやハンガリーなどの国のユーロ建てソブリン債により投資妙味があると見ています。さらに、チリなど高格付けの中南米諸国による発行も、より底堅い信用ストーリーに照らして、魅力的なスプレッドを提供しているとみています。

英国では、新首相のバーナム氏が財務相にジョン・ヒーリー氏を指名し、多くの人々を驚かせました。しかし、財政の枠組みを尊重したいとの発言にも拘わらず、これまでのところバーナム氏から聞かれているのは、そのための手当として具体的な措置は提示されないまま、次々と小出しにされる新たな支出計画ばかりです。

予算や財政状況に関する、より明確な方針は10月に見えてくるとみられますが、資金調達コストの上昇により、リーブス前財務相が創出したと考えていた、独立財政責任局(OBR)の基準における財政余地は、既に失われていることに留意すべきでしょう。したがって、英国の財政は脆弱な状況にあり、新チームによる政策上の失敗は、中期的な目標にとって非常に高い代償となる可能性があるとみています。

英国のインフレ率も、今後数カ月で急激に上昇する可能性があるでしょう。エネルギー生産における高い限界費用に合わせて全ての供給価格を設定するという、的外れな政策がその背景にあります。バーナム氏が有益な変化をもたらしたいのであれば、この枠組みを可能な限り早期に変更することを強く勧めますが、さもなければ英国の10-12月期のインフレ率は5%でピークに達する可能性があります。これは、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)が今年後半に2回の利上げを行う必要性が出てくるでしょう。

英国は、インフレに関する良いニュースを切に必要としています。この点で、英国は他国よりも、現在我々が目の当たりにしているような経済全体への物価ショックに、はるかに脆弱な経済と言えるでしょう。とは言いながらも、状況が変化してより穏やかなインフレ軌道が見えれば、BoEは今後1年間で50bps以上の利上げを行うことはないとみており、可能性としては、それよりも少ない利上げに留まる場合も考えられます。この点を踏まえれば、既に3回の利上げが完全に織り込まれている2027年6月限の英短期金利先物には投資妙味があると考えています。

刻々と変化するグローバルなマクロ環境を踏まえ、日銀も政策スタンスを再考しています。片山財務大臣が円相場の安定を試みているにも拘わらず、円への圧力が続いていることから、高市陣営では、植田総裁らに、過去24カ月間の状況を特徴付けてきた年間50bpsという非常に緩やかな利上げペースよりも、さらに迅速に政策を正常化させることを認める必要があるとの認識が高まっているようです。

政策引き締めは、日銀がビハインド・ザ・カーブである(後手に回っている)との懸念の緩和に役立ち、イールドカーブがフラット化する中で超長期債利回りの低下を促す可能性があるでしょう。したがって、日本のイールドカーブの30年ゾーンには引き続き魅力的な相対価値があるとみています。

株式市場では、半導体やハイパースケーラー関連株のバリュエーションにおいて、さらにボラティリティが上昇しました。絶え間なく拡大する投資計画に対する懸念が、これらのセクターの投資適格社債にも重石となっており、先週はグーグルがその圧力を受けました。

非常に多くの社債が発行されていることから、新規発行には購入希望額を確保するためにいくらかのプレミアムを提供する必要がありますが、その後のプライシングで発行条件をタイト化させていることにより、見た目は大幅に申し込み超過となった新規発行でも、発行時のスプレッドから縮小するのに苦戦する状況が続いています。

社債市場のその他の領域では、市場の動きははるかに限定的なものとなっています。それでも、先週は市場全体のスプレッドが1カ月以上ぶりのワイドな水準に拡大しました。

今後の見通し

この先を展望すると、8月に入り夏季休暇シーズンとなれば、市場の流動性が低下し、マクロ・ショックによる大幅な市場変動のリスクが高まる可能性があります。

多くの投資家が4-6月期の開始以降、中東紛争が収束に向かい、比較的穏やかな経済成長見通しの下で、低インフレと低金利といった以前のトレンドに回帰する可能性があるとの想定のもと、金利及びリスク資産のロングを選好するスタンスを維持してきたように思います。

しかし、過去数週間の出来事は、これらの想定に疑問を投げかけており、敵対行為に更なるエスカレーションが見られれば、これまで目の当たりにしてきた以上に大きな市場変動が見られる可能性があるとみています。

そのような結果は必ずしも我々のベースケースではありませんが、少なくともこの先慎重さを維持し、底堅い中期的な投資価値を期待できる魅力的な水準でのみ、エクスポージャーを積み増すという規律を維持すべきであるということを思い起こさせるものと考えています。この点で言えば、夏がより暑くなっていくにつれて、日陰に避難することがより理にかなうようになるでしょう。

中東での戦争が紅海にまで拡大している中、紛争の当事者である両者がいずれも交渉のテーブルに着くことを促すような痛みの閾値に達しているかどうかはまだ明らかではなく、この先一週間で報道は悪化し続ける可能性も十分にあります。

北半球の多くの地域では、暑く乾燥した夏によって広範囲で山火事が発生しており、破壊をもたらすとともに、生命を脅かしています。これはまた、穏やかで平和な風景がいかに突然変化し得るかということや、誤った場所にキャンプを設営することの危険性を思い起こさせるものです。

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