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コメント要約
先週金曜日に米雇用統計が発表されて以降、米短期国債利回りは、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加緩和期待に支えられています。過去3か月の雇用統計の弱さをFRB当局者が事前に把握していれば、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決定する可能性があったとも言えるかも知れません。
雇用者数の増加分の3か月移動平均は足元でわずか35,000人となっています。これは、FOMCが、労働市場の急減速が50bps利下げを正当化するとした昨年9月時点の平均82,000人との比較で見ると、一層際立ちます。ただし、当時は失業率が上昇基調にあったのに対し、現在失業率は4.2%近辺で安定していることは事実です。
このような状況を踏まえ、金融市場では次回FOMCにおける25bpsの利下げが織り込まれていますが、今後数週間で発表される経済指標がより広範な経済活動の減速を示した場合、市場はさらに敏感に反応する可能性があるでしょう。
先物市場では年末までに2~3回の利下げが織り込まれており、このような織り込みは概ね妥当であるとみています。ただし、関税の影響によるインフレ指標が予想以上に穏やかであった場合、利下げは、それよりも多く実施される可能性の方が高いとみています。
関税の影響が最終的に米国の消費者に及ぶのか、あるいは輸出企業が利益率や収益を犠牲にして負担を吸収するのかは、依然として不確実です。このような不確実性が、政策金利の調整においてパウエルFRB議長がやや慎重な様子見姿勢を選好する理由の一つでしょう。
しかし、雇用統計の弱さによって、パウエル議長に反対する声は増加する可能性があります。FRBが強い政治的圧力に晒されている中、9月のFOMCで当局は団結して、より統一された立場を示したいと願っていることは理解できます。
したがって、今週発表される消費者物価指数(CPI)で物価上昇が加速しない限り、今月末のジャクソンホール会議は、パウエル議長が金融緩和を示唆する機会となる可能性がありそうです。
とはいえ、現時点で米国経済の見通しを過度に懸念する必要はないと考えています。従前より2025年後半に米経済成長率が2%を下回るペースに減速する可能性があると指摘してきましたが、規制緩和や政策緩和が進むことで、2026年に向けては見通しがより改善する可能性があります。
ここ最近の企業収益を精査する中で、人工知能(AI)が牽引する米国の技術への活発な投資には目を瞠るものがあると感じており、引き続き米国の経済成長や将来の生産性の原動力になると考えています。したがって、米国の経済の見通しや成長の優位性に対して、過度に悲観的になるべきではないと考えています。
2026年を通して米国で大幅な利下げがある場合は、新たなFRB議長の下で米金融政策のハト派的な政策転換が見られる時です。週末にスティーブン・ミラン氏がFRBの臨時理事に指名されたことは、政権がFRBの考え方に挑もうとする意図を示している可能性があります。
関税のインフレへの波及効果に懐疑的である人物として、ミラン氏は金利の大幅な引き下げを主張する可能性があります。同氏の主張は理事としての一人の声に過ぎなかったとしても、自身の意見を率直に表明することで、2026年にFRBが向かう方向性を示唆する可能性があるでしょう。
債券市場の観点では、引き続き米2年/30年のイールドカーブのスティープニングを想定したポジションを選好しています。より広範に言えば、10年債利回りは当面の間レンジ内で推移する可能性があり、米国や、その点に関してはユーロ圏においても、10年債に関して強い方向性を持った見方は持ちづらい状況にあると考えています。
欧州が夏休みシーズンの真っ只中にある中、スイスは望まない形で注目の的となっています。同国は、先進国の中で最も高い関税(39%)を米国に課されています。
先週、カリン・ケラー・ズッター大統領がその再交渉のためにワシントンDCを訪問しましたが、関税引き下げの合意を得ることは出来ませんでした。このニュースはスイス資産の重石となり、スイス・フランも弱含んでいます。
しかし、スイスに対する米国の姿勢は、今後の製薬セクターへの関税を予測する上で、重要な示唆を与えてくれる可能性があります。トランプ氏は輸入した医薬品に対して当初25~50%の関税を課す案を示唆しており、これが今後18か月で150%もしくはそれ以上に引き上げられる可能性もあります。
232条に基づく関税の発表が今後数週間以内に行われる可能性があると考えており、これは比較的静かな夏の相場において市場ボラティリティの要因になる可能性があるとみています。
そんな中、欧州では再び英国に注目が集まっています。イングランド銀行(英中央銀行、BoE)は政策金利を4.0%に引き下げ、今後数四半期での追加利下げの可能性を示唆しました。コアインフレ率が3.7%とBOEの目標を大きく上回っているにも拘わらず、ベイリー総裁ら英当局者は、労働市場が停滞し、賃金上昇が鈍化することで、物価圧力が緩和されることに自信を持っているようです。
BOEのモデルは、需給ギャップの拡大や、それに伴うインフレ抑制を前提としています。しかし、期待インフレの上昇によって、実質所得が実際の物価上昇に追い付いていない中で、労働者がより高い賃金を求めてストライキを行う傾向が続いています。
このような状況を踏まえれば、ハト派なBOEによって短期金利はさらに低下する可能性はあるものの、長期的な借入コストにはほとんど恩恵をもたらすことがないであろうと予想しています。このことはつまり、レイチェル・リーブス財務相が次回の予算案で、英予算責任局(OBR)の財政ルールを遵守するため、大幅な増税を余儀なくされる可能性があることを意味しています。
しかし、これまで労働党政権が実施してきたほとんど全ての増税は、財政赤字を改善するどころかむしろ悪化させているように見えます。非永住者への課税強化は富裕層の国外流出を招きました。
私立学校への課税は学校の閉鎖を引き起こし、むしろ公立学校への負担を増加させています。また、企業が納める国民保険料の引き上げは雇用減とインフレ上昇をもたらし、雇用主は増加した給与コストを転嫁せざるを得なくなりました。
このように浮き彫りとなった英経済及び英政府財政の根本的な脆弱性は、福利厚生文化が適切に運用されない限り、改善する可能性は低いと言えるでしょう。したがって現時点では、英国資産に対して引き続きネガティブな見方を維持しています。
為替市場では、米雇用統計の弱さが、ここ最近の米ドル高傾向の反転につながりました。ヘッジファンドやCTAによる米ドルのショート・ポジションは、7月の米ドル高を受けて30~50%程度縮小されたようです。
しかし、他の中央銀行が政策を据え置く中で、FRBによる緩和が再び注目を集めて、これらのポジションが再構築される可能性があります。ただし、米ドル安に追随することには慎重になっています。
2026年の米成長見通しは依然として底堅く、米国株式やハイテク・セクターが引き続きアウトパフォームしていること、トランプ氏による政策の信用失墜への懸念が薄れていることを考慮しています。そのため、短期金利が為替の主な変動要因である場合、イールドカーブ取引を通じてこの動きを活用した方が賢明であるとみており、足元では韓国ウォンやノルウェー・クローネの控えめなロング・ポジションを選好しています。
目先は、米CPIの発表がマクロ投資家の注目の的となるでしょう。市場コンセンサスでは、7月にコア物価が前月比0.3%上昇となり、前年比では3.0%上昇になると予想されています。
今回に関してはやや上振れリスクの方が大きいと考えています。しかし、概ね市場コンセンサス通りの結果となった場合、FRBに利下げ余地があるとの見方は強まり、関税の影響による一時的な物価変動を過度に懸念するべきではないとの声も高まる可能性があるとみています。
ホワイトハウス関係者との議論では、政策金利を直ちに100bps引き下げるべく十分な根拠があるとの主張が目立ちます。その背景には、現行の金融政策がもはや過度に抑制的であるにも拘わらず、FRBがビハインド・ザ・カーブとなって(後手に回って)おり、政策金利は少なくとも中立金利(R*)を上回るべきではないとの考えがあるようです。
また、米政権内の一部では、FOMCが7月に利下げを見送った決定は、不適切な情報に基づく誤った判断であったと認めるべきである、との声も上がっています。またそのような主張の延長として、9月に50bpsの利下げを行うべきとの主張もあります。
FRBが不適切な経済モデルや質の低いデータに依存しているのではないかとの懸念は常に存在しています。この文脈で言えば、米労働省労働統計局(BLS)のエリカ・マッケンターファー局長の解任は、ホワイトハウス内の不満を反映しているという側面もあるでしょう。
さらに、一部のエスタブリッシュメントが反トランプ的なバイアスを持っているとの疑念も、こうした動きに拍車を掛けています。このため、トランプ氏には、自身の基準で職務を果たしていないと判断した人物を解任する動機があり、このことは目先ボラティリティを高める要因となる可能性があるでしょう。
こうした状況を踏まえれば、スイス人のみならず、パウエルFRB議長にとっても、(チーズのように穴が空くほど)頭を抱えてしまう出来事が多い夏となるかもしれません。
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