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コメント要約
米国とユーロ圏の債券利回りは、過去1週間、価格変動を促す材料を欠き、概ねレンジ内での動きに留まりました。ワシントンDCでは、少なくとも政府閉鎖が終了しましたが、経済指標にもたらした混乱により、遅延していた9月の指標が公表された後に、通常であれば今月公表されるはずの10月の指標がなくなる可能性があります。
一方、トランプ氏の支持率が二期目の最低水準に落ち込んでいるタイミングに、トランプ氏に政治的な注目が集まっていることで、トランプ氏は防戦を余儀なくさせられています。エプスタイン・ファイルに関連するリークによって不快感が生じており、トランプ政権が隠したいものがあるのではないかという疑念の中、完全な形での開示を求める圧力が高まっています。また、最近の州知事選挙での敗北により、有権者の最優先課題として、物価の適正水準といったことに再び注目が集まっています。
元本返済ペースが緩やかということで、借り入れコストを低くする効果があるとして、トランプ氏が50年の住宅ローンを後押ししようとしていることには、市場では賛否両論の反応が見られます。この点において問題となっているのは、収入が増加しているにも拘わらず、より大きな住宅に買い替えることが出来ないと感じる個人があまりにも多くいることです。それは、長期借り入れコストが2%まで低下した際に借り入れ(または借り換え)を行った既存の住宅ローンを放棄したくないためです。
しかし、金利がさらに大幅に低下しない限り、住宅ローンのポータビリティを実施する計画を欠く中では、即効性のある解決策がない問題のように見受けられます。一方、商品の値上がりは関税のせいだとの批判が日増しに多くなっています。ほとんどのエコノミストが、今後6か月間はインフレがさらに上昇し続けると予想していることから、物価の適正水準を達成できていないことへのトランプ氏に対する批判は、さらに高まる可能性があるでしょう。
この政治的な懸念を見てみると、インフレが問題であることを大統領が認め、今後数か月間に亘って、米連邦準備制度理事会(FRB)への利下げ圧力を和らげるかどうかは興味深い点でしょう。相対的に好調な経済において金融緩和をさらに進めることは、物価をさらに上昇させる結果となるリスクがあるためです。
もちろん、今後数か月の間に失業率が上昇し始めれば、米労働市場のより急激な悪化がFRBの行動を促す可能性はあるでしょう。しかし、これまでにも述べてきた通り、移民の流れの反転を受けて人口成長率の変化を調整すると、月次の雇用統計の軟調さが必ずしも失業率を大幅に押し上げることにはならないとの見方を続けています。
政府機関閉鎖により、短期的には一部経済指標の悪化が予想されるため、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でさらに1回の利下げが行われる可能性は半々であると考えているものの、2026年にFRBが追加で利下げを行う状態にあるかどうかについては懐疑的にみています。
米国において来年、人工知能(AI)関連の投資支出の急増によって実質GDP成長率が3.5%に達し、インフレ率が3.5%であった場合、2026年の名目GDP成長率は7%に拡大することになります。これは、企業業績やリスク資産全般を広く下支えするはずです。一方で、このような経済的状況は、金利の引き下げを必要としたり、それが望まれる状況ではないでしょう。
このような環境下において、米国債利回りはレンジ内で推移し続ける可能性があり、最終的にリスクは利回り上昇方向に傾くと予想されます。この観点から、現在の金利や利回りの水準は、極めて「正常」な水準であるように感じられることを強調する必要があるでしょう。2008年以降にマクロ分析や金融市場でのキャリアを始めた人は、現在の金利は高く、低下する必要があると考えるかもしれません。なぜなら、その人にとっては、過去10年間の金利がより正常に見えるからです。しかし、おそらく過去10年間は、金利や債券市場の価格評価が歪んでいた時期であり、現在はそうではありません。さらに、興味深いことは、このタイミングで利下げの必要性を最も強く主張しているのは、プライベート市場の人達であるということです。
プライベート資産が手数料を差し引いた後で魅力的なリターンを生み出すためには、継続的なマルチプルの拡大と安価なレバレッジへのアクセスが必要です。これがなければ、これらの運用者が主張するいかなる秘策も、幻想に過ぎないように思われます。
結局のところ、企業が高度にレバレッジを効かせて負債を抱えている場合、借り入れコストが高止まりすれば、すぐに全てのフリー・キャッシュフローが債務返済コストに吸収されてしまうことを踏まえると、それほど驚くべきことではないでしょう。その間、これらの投資資金が損なわれるまでに、そんなに多くの悪いことは必要ないのです。
したがって、今後1年間で、パブリック資産とプライベート資産のパフォーマンスの傾向に、ますます大きな乖離が生じる可能性があり、ここ最近の”プライベート”と称するものの人気やそれに対する執着に対して、疑問符を付けています。
欧州市場は、またもや静かな1週間となりました。しかし英国では、雇用と成長関連の弱い経済指標がいずれも英経済への懸念を高める格好となり、英ポンドに重石となっています。一方、レイチェル・リーブス財務相による予算発表まで2週間を切った今、現政権が、来年、英経済を意図的に景気後退に追い込むのではないかと疑問を投げ掛けることは適切なように思えます。その理由は、単に英予算責任局(OBR)の統計学者を満足させたいためであり、労働党が将来の社会保障支出の増加を食い止められることを示せず、信頼を回復することが出来ないためです。
リセッションによってインフレを抑えることは出来るかもしれません(英ポンドの更なる下落幅、及びその速度にもよりますが)。しかし、利下げと短期債利回りの低下が起きるとの想定を支持する材料となるかもしれませんが、景気後退が実際に英国の財政状況を改善ではなく、むしろ悪化させた場合には、長期の借り入れコストが反対方向に動くリスクがあります。とはいえ、週末にレイチェル・リーブス氏が所得税に関する方針を180度転換したことは、予算案に関する不透明感をさらに高め、政府は残っていた信頼性を損なってしまったようにみえます。
さらに、スターマー政権内の脅威は高まり続けています。予算案の政治的な反響が芳しくないであろうと予想される中、スターマー首相がリーブス財務相をいつまで職に留めるのか、そしてスターマー首相氏自身が、来年5月に行われる地方選挙で惨憺たる結果が予想される中で、解任されることも避けられないのではないかと思えてしまいます。
しかし、いかなる人事変更であっても、労働党がさらに左傾化することを意味するのであれば、英国資産にとってはさらに悪いニュースとなるでしょう。金融市場は、支出と課税の恒常的な増加という政策に信頼を置いていないことを明確に示していますが、それはまさに現政権が実現しようとしていることのようです。このような状況を踏まえ、英国の見通しは非常に厳しいままです。
日本では、高市首相の過去1週間の約束や発言は、全てアベノミクスへの回帰を望む同氏の願望を反映したものとなりました。高市氏が、財政政策と金融政策を緩和することで、日本の名目GDP成長を刺激出来ると期待していることは明らかです。
この点に関して同氏は、名目成長率が債券利回りを上回ることで、日本の対GDP比債務比率を引き下げることが出来るという願望を公然と述べています。これは魅力的に聞こえますが、高市氏が直面する課題は、日本のインフレ率が低過ぎるのではなく、高過ぎるという点において、安倍政権時代とは異なります。
日本のCPIは3年以上に亘って平均3%前後で推移しており、現在の政策ミックスはこれをさらに押し上げる可能性があります。そして、円が下落を続け、投資家が当面、介入や金利上昇を恐れる必要があるなら、さらに円が下落することで、インフレが強まる可能性があります。
結局のところ、日本がインフレ率をさらに押し上げることは賢明ではないと考えています。高齢化社会によって労働力の供給が減少し、すでに賃金上昇を招いています。この点に関して、来年の春闘では、さらに5%から6%の上昇が既に見込まれます。
金融政策の正常化を継続し、日銀が2%のインフレ目標を達成することに焦点を当て、同時に成長を促進するアジェンダを追求することの方が、はるかに理にかなっているように思われます。しかし、高市氏が日銀の政策の一貫性を損なってしまうようであれば、今後数か月間で市場のオーバーシュートを招きかねない政策ミスが生じるリスクが高まるかもしれません。
今後の見通し
今後の見通しとして、来週は感謝祭前の最後の1週間となり、12月の市場と年末が視野に入る時期に差し掛かります。多くの点から、マクロ経済の状況は比較的安定し、当面はリスク資産を支えると考えていますが、この落ち着いた状況がいつまで続くかはわかりません。予期せぬショックがいつ起こるかわからないことは常に認識しています。
エプスタイン・ファイルが別の高名な犠牲者を生むかどうか(または、アンドリュー元王子が自身の本を執筆して全てを明らかにすることで、お小遣いを稼ぐ誘惑に駆られるかどうか)は、誰にもわかりません。もしかすると、私たちはすでに「トランプのピーク」を超えたのかもしれません。一方、英国のスターマー氏に関しては、彼のピークは確実に昨年の選挙の夜であり、それ以来、回復不能な下降を続けているようです。まるで、人気テレビ番組「The Traitors(裏切り者たち)」の出演者が自らの出番のタイミングを図っているかのようです……。
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