AI関連の支出に失望の兆し?

Oct 19, 2026

使い放題だった状況から使用量の制限へ

コメント要約
  • AI関連支出のトレンド:今年初めに飛躍的な伸びを見せた人工知能(AI)関連の支出を、横ばいにし始めている兆しが見られる中で、先週ハイテク株は下落しました。
  • AI見通し:AIの成長とインフラ構築が減速したり、止まったりするということではなく、あらゆる指標が四半期ごとに加速しているという、これまでのパターンが緩和し始めている可能性があります。このことから、2027年に掛けての米国経済はより穏やかであるものの、依然として健全な成長見通しとなる可能性があります。
  • インフレ及びエネルギーのリスク:米インフレ率は来年早々に4%でピークを付けると予想しているものの、エネルギー価格が依然として不確定要素となっており、より持続可能な緊張緩和を生み出す合意の可能性は低く、中東情勢の激化は物価をさらに押し上げる可能性があります。
  • FRBの金利軌道:ワシントンDCで政策当局者と行った面談は、米国の次の利上げは12月より早いタイミングとはならない、という我々の見方を確たるものとしました。FRBは、ここ最近のインフレ指標についてパニックになる必要はほとんどないと指摘しています。
  • 欧州と英国:主に米国の動きにつられる格好となりましたが、ソブリン債スプレッドは幾らか回復しました。英国では、ここ最近の世論調査で保守党の支持率が上昇しており、バーナム首相が来年解散総選挙を呼びかける可能性は低下するかも知れず、結果として今後数週間では特段中身のない政策課題を提示することになるリスクがあるでしょう。

先週は、ハイテク株の下落を受けて、投資家による質への逃避傾向が強まる中、債券利回りが低下しました。ハイテクセクターにおいては多くの銘柄が極めて高いマルチプルで取引されており、事実上デュレーションの長い資産となっています。この点で言えば、最近の米長期国債利回りの上昇が、株式強気派の熱意をもっと大きく削がなかったのは意外とも言えるでしょう!

株式投資家の注目は収益成長の勢いという一点であり、これは驚くべき耐性を見せています。しかし、最近のOpenAIのつまずきが示唆しているように、この上昇軌道がある程度横ばいになり始めている兆候があるかも知れず、今後数週間でこれが裏付けられれば、より大幅な株価の下落につながる可能性があるでしょう。またその場合、主要金利市場の魅力は高まることになるでしょう。

また、プライベート資産の運用会社から聞いた話として、傘下のポートフォリオ企業が今年初めに飛躍的な伸びを見せた人工知能(AI)関連の支出を、横ばいにし始めているとのことです。また明らかに、AI以外のセクターの多くの企業については、金利上昇による圧迫の兆候を示し始めています。

ますます多くのCEOにとって、このことはコスト抑制により注力するきっかけとなっているようです。確かに、最初は誰もが自由に使い放題だった状況から、今では多くの管理者がトークン(AIの利用量に応じた課金コスト)の使用量に制限をかけ始めているようです。これは、AIの成長とインフラ構築が減速したり、止まったりするということではなく、あらゆる指標が四半期ごとに加速しているという、これまでのパターンが緩和し始めている可能性があるということです。このことから、2027年に掛けての米国経済はより穏やかな(しかし依然として非常に健全な)成長見通しとなる可能性があります。

債券市場では、先週発表された市場予想をやや上回る米インフレ指標を、米国債市場はほぼ材料視しませんでした。投資家は月末の米連邦準備制度理事会(FRB)による連続利上げの予測を後退させています。

この1週間、ワシントンDCで政策当局者と行った面談は、米国の次の利上げは12月より早いタイミングとはならない、という我々の見方を確たるものとしました。FRBは、ここ最近のインフレ指標についてパニックになる必要はほとんどないと指摘しています。

消費者物価指数(CPI)が3%台半ばであることは、8%を超えた2022年当時の水準をはるかに下回っていることは強調すべきでしょう。しかし、最終的にはインフレの軌道が政策金利の道筋を決定します。米国の政策当局者は、目標を上回るインフレ率が長期化していることや、将来の価格期待がより大きな影響を受けるリスクを考慮し、明らかに今後1年間でインフレ率を2%目標に近づけることを目指しています。

また、より慎重に見るべき理由として、エネルギー価格が依然として不確定要素となっており、米政権から聞く限り、中東紛争を終結させるための明確な計画はないようです。この点を踏まえ、当社ではエネルギー価格が現在の水準にとどまることを基本シナリオとしています。中東情勢は、より大きな地域的なエスカレーションへと発展しかねないリスクがあり、その場合はエネルギー価格がはるかに高くなる可能性がありますが、より持続可能な緊張緩和を生み出す合意の可能性も低いと見られます。

FRBとしては、エネルギー価格を制御するために出来ることはほとんどありませんが、エネルギー価格上昇には対応する必要があるでしょう。エネルギーを除けば、価格圧力はより抑制されています。

AI構築による価格への圧力はあるものの、FRBはAI需要を冷やすために政策を打ち出す必要がある場合、それが米国経済の他の部分に大きなダメージを与えるリスクがあるということも認識しています。したがって、ハイテク株の後退やAI熱狂の自己抑制的な動きは、政策当局者には歓迎されることでしょう。

米国のインフレに話を戻すと、米インフレ率は来年早々に4%でピークを付けると予想しています。これを踏まえ、当社ではFRBが2026年10-12月期および2027年1-3月期に利上げを実施するとみています。その後は、ベース効果が作用し始める中でCPIの低下軌道が続き、FRBが政策を据え置くと予想しています。この点を踏まえれば、市場は今後1年間でのFRBの利上げを過度に織り込んでおり、米イールドカーブの短期ゾーンについて前向きな見方を維持しています。  

一方、長期債に対してはより慎重にみています。米国、さらに世界的に見られている政府債務及び社債発行額の急増によって、市場がタームプレミアムの上乗せを要求する可能性があるとみているためです。大西洋の両側でイールドカーブが比較的フラットであることを踏まえ、今後イールドカーブはよりスティープ化の軌道を辿りやすいとみています。

過去1週間、欧州市場は主に米国の動きにつられる格好となりましたが、売り圧力を促す目新しい悪材料がない中で、ソブリン債スプレッドは幾らか回復しました。

英国では近く発表される予算を待っている状態ですが、これとは別に、ここ最近の世論調査で保守党の支持率が上昇していることが注目されます。保守党の巻き返しにより、バーナム首相が来年解散総選挙を呼びかける可能性は低下するかも知れず、結果として今後数週間では特段中身のない政策課題を提示することになるリスクがあるでしょう。

先週は日本国債も良好なパフォーマンスとなり、国内投資家からの国債購入増の報道に後押されされました。

その他では、米国株の反落により、ここ最近の米ドルの上昇モメンタムが鈍化しました。当面、主要通貨間のクロスポジションについては強い見方を持っていませんが、欧州ではハンガリー・フォリントを選好しています。中期的なユーロ加盟への期待が引き続き高まっているためです。

今後の見通し

今後を見据えると、月の後半には材料視される経済指標の発表はそれほどなく、市場の注目は再び中央銀行に向かうでしょう。しかし、主要中央銀行が次回会合で利上げを実施するとは考えておらず、結果として金利にとっては、より安定した投資環境となる可能性があるでしょう。

それ以外の話題として、過去1週間では、AIブームに関連して起きていることが、全ての市場に影響を与える可能性があることが改めて確認されました。この点で言えば、熱狂的な狂乱の後、冷静に現実を直視する機会が訪れることは、決して悪いことではないのかも知れません。

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