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コメント要約
過去1週間は、人工知能(AI)への熱狂がバリュエーションの過熱感への懸念に代わり、株価を押し下げる要因となりました。しかし、ハイテク企業の収益の力強いモメンタムは、短期的には持続する可能性が高く、投資額の増加ペースは鈍化するよりもむしろ、加速し続ける過程にあるように見受けられます。
この点では、過去1週間にグーグルとメタが社債で巨額の新規発行を実施したことも興味深い出来事であったと言えるでしょう。かつて巨額のキャッシュを生み出す存在であったこれらの企業は、今や集めた資金を活用する企業の先頭を走っています。その結果、他のリスク資産が好調なパフォーマンスを続けても、社債の大量供給がスプレッドの更なる縮小を抑制する要因となる可能性があるとの認識が日増しに広がっています。
米国におけるAIへの支出は、2025年の約750億ドルから2026年には3,000億ドルに加速すると予想されています。これだけの規模の投資があれば、来年のGDP見通しはさらに上方修正される可能性が高いとみられます。
また、データセンターが稼働することで、電力需要が供給の伸びを上回る可能性があることにも注視しています。企業は容量を確保するために先走っており、このことも来年に掛けて物価に上振れリスクとなる可能性もあるとみています。
力強い成長やインフレ上振れの可能性を踏まえれば、軟調な労働市場が続いたとしても、米連邦準備制度理事会(FRB)が2026年に大幅な利下げを行う可能性は低いとみています。結果として、米10年国債利回りは4%~4.25%のレンジ内で推移するなど、長期的な均衡水準付近で推移する可能性があるとみています。
その他では、ワシントンDCにおいて依然として与野党間の妥協は得られず、米政府機関の閉鎖が続きました。先週、トランプ氏は、フィリバスター(議事妨害)を廃止するよう共和党上院議員を説得できませんでした。これが廃止されれば、単純過半数での強行採決によって政府予算案を可決できるようになります。そんな中、航空便の遅延や欠航は悪化し続けており、この先旅行シーズンがピークを迎える感謝祭休暇が思いやられます。
政府閉鎖は2ヶ月目に入りましたが、もう一つの影響として、この期間にデータ収集が中断されたため、多くの経済指標が発表されなくなることが挙げられます。その観点で言えば、早期に解決策が見つからなければ、FRBは12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において11月の雇用統計を評価することが出来ず、経済学者や政策立案者は一時的に(少なくとも部分的に)何も見えない状態になってしまうと思います。
とは言いながらも、ADP雇用統計やISMサービス業景況調査など、この間に発表されたほとんどの指標は比較的堅調な内容でした。ただし、チャレンジャー社が発表した雇用削減の増加はやや暗い見通しを示す内容でした。
この1週間は、米最高裁判所も注目を集め、裁判官は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ氏の関税賦課について重大な懸念を示しました。
最高裁の最終判断は今年末まで出ない可能性もありますが、賭け市場では、これが米大統領に不利に働き、これらの関税が無効となる確率を75%と予想しています。その場合、政府は関税を賦課する包括的なセクター別アプローチを制定することで、徴収される収入の維持を図ると予想しています。
また、企業が、補償や既に支払った関税の返還を確保するための異議申し立てで成功を収める可能性は低いとみています。ただし、このシナリオでは、平均実効関税率は数%ポイント低下する可能性があるでしょう。このことが米財政赤字見通しの更なる悪化につながれば、より長期債の利回りを押し上げる要因になるとみられ、実際にこれが、過去1週間で米イールドカーブをややスティープ化させる一因となってきました。
過去1週間、欧州のニュースフローは比較的静かでした。ユーロ圏の短期債利回りは、政策を据え置いている欧州中央銀行(ECB)がアンカーとなり、支えられています。一方、長期国債への需要は、需給バランスの見通し変化によって左右され続けています。
来年に掛けて、ユーロ圏全体で巨額の国債発行が見込まれ、時を同じくして、長期債の最大の買い手の一つであったオランダのいくつかの年金基金が、先月に発効された規制変更によって、市場から姿を消す可能性が高いと見られているためです。
さらに、フランスの予算案は、富裕層の生命保険商品への需要を減退させる可能性もあり、これがフランスの長期国債の買い手基盤に打撃をもたらす可能性があります。より広範に言えば、世界的に見て、デュレーションに対する需要が構造的に減少している感覚があり、ここ最近債券投資家は、クレジットなどの領域でキャリーを積み増すことで魅力的な利回りを確保することに重点を置いているようです。結果として、投資家がデュレーション・リスクを積み増すよう惹き付けるために、ターム・プレミアムが高位に留まる可能性があるとみています。
英国では、レイチェル・リーブス財務相が予算発表前の先週、大規模な増税を盛り込む可能性を示唆しました。リーブス氏は、結果としてインフレと借入コストを引き下げることになるとの期待から、英経済をさらに犠牲にすることが唯一の選択肢であると結論付けたとの認識が広がるかもしれません。
リーブス氏は、最終的に住宅ローン金利や政府の借入コストが低下することになれば、経済的苦痛には意味があったと主張する機会を期待しているかも知れません。その点に関して言えば、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)は先週、政策金利を4%に据え置きましたが、参加者の意見は5対4と割れたことから、12月の次回会合での利下げへの期待感を支えました。
政治的な観点で言えば、2029年の次期総選挙まではまだ時間があります。そのため、英国の有権者が再び投票する機会を得る前に状況が好転することを期待して、短期的にはより多くの経済的苦痛に耐えることが得策なのかも知れません。
しかし、労働党政権が、国民の税負担が既に非常に高い水準にある中、増税のみで英国の財政問題を解決出来ると考えているのであれば、これは失敗に終わるリスクがあるでしょう。最終的に、政府は、社会保障費を抑制出来ることを示さなければ、債務の持続可能性に関する懸念に逆戻りするリスクが伴うことになるでしょう。
先週は、やや質への逃避傾向が見られ、キャリートレードが一定程度解消されたことで、円が堅調に推移しました。しかし、これは一時的な回復に過ぎず、投資家が再び円を売り始め、選好するロング・ポジションの元手資金とすれば、円の売り圧力が再燃する可能性があるとみています。
介入の可能性も低いと見られ、米ドルに対して160円も見据える中、円がより多くの投資家の支援を得るためには、日銀が12月(もしくは遅くとも1月)に利上げする自由度があるという感覚がより強まる必要があるでしょう。日銀が1月に動かなければ、利上げは新年度まで行われない可能性があり、その結果、インフレが今や3年以上も平均3%で推移しているにも拘わらず、来年5月まで政策金利が0.5%に留まる可能性もあるでしょう。
日本経済は、就業人口が減少する中でも、緩やかな経済成長を続けています。また、労働組合は既に、来年3月の春闘賃金交渉で6%の賃上げを求めています。
このような点を踏まえれば、日本のマクロ経済政策は適切ではないように見受けられ、新たに選出された高市首相が、状況を改善するのではなく悪化させてしまうような、政策の誤りを犯さないことが重要となります。引き続き、日本国債全体で見た金利リスクには慎重ですが、財務省が対処すべき需給の不均衡を踏まえ、超長期国債のについてはミスプライスと見受けられる投資機会が存在しているとみて注目しています。
その他の通貨では、ショート・ポジションを維持してきた投資家が米国経済の力強い成長見通しを再評価する中、米ドルも上昇を続けています。英ポンドはアンダーパフォームしており、英国政府は、増税の苦痛を和らげるために英ポンド安を歓迎しているようにも見えてしまいます。
カナダドルも、米国との関税と貿易に関する協議の進展への期待が冷める中、足元では軟調に推移しています。また、貴金属価格も下落し、投機的な熱狂が衰えているようにも見受けられます。これはデジタル資産にも言えることで、ビットコインは現在、高値から20%下落し、2025年初めの取引水準に戻っています。
今後の見通し
今後の見通しとして、米国の経済指標発表や主要中央銀行の会合がないため、目先は表面上静かな1週間となる可能性があります。しかし、過去数週間、市場を動かす別の材料が十分にあることを目の当たりにしてきました。
米国政治に話を戻すと、先週のもう一つの焦点はニューヨーク市長選で、34歳のゾーラン・マムダニ氏が50%以上の票を獲得して当選を果たしました。民主社会主義者を自称するマムダニ氏は、全米レベルではある意味で評価が二分される人物であり、トランプ氏は彼を「リトル・コミュニスト」と呼んで挑発し、嘲笑しています。
しかし、彼の当選が民主党に広く示したのは、人気(そして若さ)のある候補者を見つけることが出来れば、来年のこの時期に行われる中間選挙で民主党が巻き返す道はあるということでしょう。
しかしながら、マムダニ氏や、それ以前ではバーニー・サンダース氏などの声で、民主党がより進歩的で社会主義的な方向に進むことが、果たして前進の道であるかどうかには議論の余地があります。トランプ氏への強い反発が対極に向かう力となっていることは確かです。しかし、米国の政治闘争においては中道が勝つ傾向にあり、マムダニ氏はこれを良く覚えておくと良いでしょう。そうすれば、彼はこの先、長い政治人生を歩むことになるかも知れません……。
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