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コメント要約
先週の金融市場では、12月の米利下げ確率が80%まで上昇する中、米国債利回りの低下傾向が続きました。米連邦準備制度理事会(FRB)高官からのハト派的な発言が背景にあります。12月11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を前に、今週末からFRBのブラックアウト期間が始まり、その間に重要な経済指標の発表もほとんどないことから、パウエルFRB議長がクリスマス前に市場を驚かせるような行動を取るとは考えにくいでしょう。したがって、利下げが実施される可能性が高いとみています。
ただし、週次の新規失業保険申請件数などの一連の経済指標が、米労働市場の一層の減速懸念を払拭し続ける内容となる中、金融緩和があったとしても、何らかのタカ派的なコメントが伴うとみています。
さらに、2026年に掛けては、減税やこれまでの利下げ、規制緩和、人工知能(AI)投資ブームが米国経済の追い風になると見込んでおり、パウエル氏が今回の利下げ実施を、来年5月の任期満了前の最後の政策行動とする可能性があるとみています。
スコット・ベッセント氏のコメントによると、新たなFRB議長の指名決定が最終段階に近づいているとみられ、ケビン・ハセット氏が最有力候補として浮上しているとのことです。相対的に言えば、市場参加者はウォーシュ氏やウォーラー氏、ベッセント氏本人よりも、ハセット氏をハト派的選択とみなす傾向があります。ただし、ハト派的バイアスを過大評価すべきではないとみています。ハセット氏は高く評価されており、いずれの有力候補者も金融政策決定において正統派のアプローチを継続すると予想しています。
また、FRB議長の任期は4年(2期務めると最長8年)であることも忘れてはなりません。つまり、ドナルド・トランプ氏は任期期間中の当初の2年間しかホワイトハウスにおらず、その大部分は大統領就任二期目のレームダック期間となります。
この観点から、新たなFRB議長は、自らの任期全体の遺産に影を落とすことになりかねない、極めて短期の上司への迎合を目的とした決定は下したくないでしょう。さらに、共和党が重要な選挙課題として「アフォーダビリティ(物価の適正水準)」に焦点を当てる必要があるため、来年11月の中間選挙に向けてインフレ上昇を防ぐことは必須の政治的優先事項となるでしょう。これにより、今後数ヶ月間で米政権内からの政策金利に対する注文は静かになると予想されます。
欧州の債券市場は先週も総じて狭いレンジ内で推移しました。主な焦点と議論の的となったのは、ウクライナに関して米国が提案した和平案でした。提案された28項目の計画では、紛争終結への慎重な楽観論も見られたものの、欧州主要国では懸念も多く聞かれました。
スティーブ・ウィトコフ氏が、トランプ大統領の支持を得たこれまでの計画作成にあたって、ロシアを手助けすることに協力していたとの見方が、ウクライナ政府や欧州の同盟国を困惑させています。しかし、現実には、米国の支援がなければウクライナは持続不可能な立場に追い込まれます。
この事実を渋々受け入れることが、合意に向けた進展を促しているようです。今後を展望する上では複数のシナリオが存在し、今後数日間の議論に多くのことが懸かっています。
ただし、当社では、ウクライナ政府にとって不利な合意は、最終的にウクライナ国内での政治的な反発を招き、隣国やEU全体に、移民の増加によって負担を高める結果となる可能性があります。
英国では、レイチェル・リーブス財務相が、長きにわたる情報漏洩や憶測を経て、先週予算を公表しました。直感的に言えば、公表された措置は短期的には政府支出の拡大をもたらし、次の総選挙後に増税で相殺されることを前提にしています。
総額では、向こう5年間で社会保障予算が730億英ポンド増の4,060億英ポンドとなり、その財源は増税で賄われます。この追加支出は、労働党議員の不満を抑えるのに役立つでしょうが、現実には経済成長にほとんど寄与せず、英国の労働生産性の成長の停滞を再確認させるものです。労働生産性の停滞こそが、英国のここ最近の経済的苦境の重要な要因の一つとなっています。
英長期国債利回りは予算発表日に低下しましたが、これは英国債務管理局(DMO)が年末までの長期債発行を中止し、国債の平均残存期間を短縮する動きを見せたことへの反応のようです。
また、スターマー氏とリーブス氏の政治リスク・プレミアムが低下したことも好感されたと考えられます。両氏が現職に留まることが出来るかどうかは、過去数週間で日増しに不透明となっていました。短期的には与党指導部交代の可能性は低くなったものの、当面はより楽観的な見通しを予測するのは難しく、来年5月の地方選挙後も労働党の支持率が現状から改善されない場合、新たなアプローチが必要になるのではという懸念が再燃する可能性があるでしょう。
当面は、英国債に対して中立姿勢を維持します。インフレ低下に向けて、より実質的な進展が見られれば、短期債利回りが恩恵を受ける可能性はあるとみています。しかし、長期債は、市場が政策の信頼性欠如、つまり無計画な社会保障費の拡大に対処する意思や計画の不在を織り込む中で、リスク・プレミアム上昇による影響に晒される状況が続くでしょう。一方、英国経済が相対的に低迷し続けるとの見方から、英ポンドのショート・ポジションを維持することが賢明であると考えています。
社債市場は、感謝祭休暇によって通常より短い一週間において、比較的静かでした。為替市場では、12月の日銀利上げ観測の高まりを受け、円が直近の下落分を一部回復しました。来週予定されている発言の場を使って、植田総裁がこの考え方に傾斜する可能性はありますが、当社はやや懐疑的な見方をしています。植田氏の主たるスピーチは全て高市首相が見ており、内容を編集する権利を確保しているとみられるためです。現時点では、日銀は12月の会合で金利を据え置く可能性が高いとみていますが、これがドル円160円に向けた動きを促せば、2026年最初の政策決定会合となる1月に、日銀が利上げを決定するきっかけとなる可能性もあるとみています。
今後の見通し
今後の見通しとして、来週に掛けては次回FOMC会合への注目が高まると予想されます。経済指標やFRB関係者からの発言がない中、市場は価格を動かす新たな材料を必要としていますが、これは次回FOMC会合になるとみています。
その他では、ここ数週間荒れた展開が続いていた株式市場では、センチメントが改善傾向にあるようです。12月に入り、市場流動性が例年低下する時期を迎えますが、季節的にはリスク資産保有者にとって有利となりやすい傾向があります。
一方で、経済・政治的な停滞を改めて思い起こさずにはいられませんが、これは英国のみの運命ではないようで、現在では北欧も同様であるように思います。社会保障への依存や高い税金、経済の停滞というストーリーは、投資や消費意欲を減退させるネガティブなマインドセットを生み出す場合、自ずから強まっていく性質を帯びています。
このような状況から、過去1年間に約70万人が英国を離れたことは特筆すべきでしょう。このような移住者数は、第1次世界大戦後以来、100年以上振りの水準です。
若年層や、意欲と生産性に富んだ人材が海外で将来を追求しています。この波が近く戻ってくるとは考えにくいでしょう。政策や政治的な選択は、金融市場の将来の軌道を定義すると同時に、私たちが生きる社会の将来を形作ると言えるでしょう。
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