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これはコサ語(南アフリカの先住民の言語で公用語の一つ)のことわざですが、この言葉とともに、南アフリカの大物政治家であるヘレン・ツィレ氏は同国の最近の状況に対する分析を話し始めました。民主同盟(DA)の元党首であるツィレ氏が、ヨハネスブルグ市長選のDA候補に指名されるわずか4日前、ケープタウンの寒い朝にツィレ氏の話を聞いていると、同氏が、自らと国にとっての先行きは一筋縄ではいかないと見ていることがはっきりと伝わってきました。今は気を抜くときではありません。
同国を訪問して、この国の生活の根底にある対照的な事象を感じました。圧倒的な自然の美しさの中で、莫大な富と深刻な貧困が、残酷なまでに隣り合わせで存在しています。
対照的な隣り合わせの問題について言えば、この国の現在の政治情勢は、かなり奇妙なものを内包しています。南アフリカの2大政党であり長年のライバル同士であるアフリカ民族会議(ANC)とDAは、現在、複数政党からなる「国民統一政府」(GNU)の一部として権力を共有しています。このありえなさそうで、必要に迫られて行われた「結婚」は、代替手段が他に思いつかなかったことで実現しました。多くの人が長くはもたないだろうと思っていましたが、すでに1周年を迎えました。幸せな結婚生活からはほど遠いですが、GNUは他の連立政権であれば対応できなかったような試練を乗り越えてきました。連立政治は扱いの難しい猛獣のようなものですが、今回の連立政権は特に複雑なものとなっています。どちらの政党も、決して居心地がいいとは思っていないかもしれませんが、離婚届をまだ提出していないという事実は、南アフリカの耐久力と現実主義を表す証と言えます。これは長年にわたって同国が必要としていたものです。
この不安定な状況の中でも、明るい兆しがあります。いくつかの明確な改善があり、例えば、内務省は、ビジネスや観光ビザなどの見直しを行いました。これは、政府運営が改善すれば何が起こるかといった一つの例として、常に取り上げられています。また、部分停電は、主要な話題ではなく二次的な話題に後退しました。全体的に見て、GNUの形成は、すべての参加者がより良い成果をあげようとする内部的なプレッシャーを生み出しています。しかし、同国の大部分の国民はいまだにGNUの成果を静観しており、多くのリスクに対する忍耐力が薄れつつあります。構造改革を実施するための政府イニシアティブである「Operation Vulindlela(道を開けろ作戦、Vulindlelaは公用語の一つであるズールー語で道を開けろの意味)」の共同リーダーから話を聞きましたが、取り組まなければならない改善事項リストは非常に長く、そして重要なことは、その大部分はまだ行われていないということです。エネルギー、物流、水、地方政府、地域間格差、デジタルトランスフォーメーションが主要項目であり、さらにそれぞれがその下に時間を要する多数の作業工程を抱えています。進展は見られますが、ゴールが遠いことは明らかです。
耐久力は今回の訪問の包括的なテーマとなっています。国内問題が、南アフリカの成長を停滞させ、多くのビジネスを抑制するような経済環境を招きました。多くの南アフリカ企業は2010年代に海外進出を試みましたが、その成功はまちまちでした。結局、厳しい国内の環境で何とか生き延びる方法を見つけなければなりませんでしたが、こうした状況は、私たちが滞在中に会った有力な経営者を育てるのに役立ってきました。南アフリカへの長期投資家として、私たちは、同国大手企業の多くが、質の高い経営陣を擁していることを認識しています。企業運営の優秀さは高級品ではなく必需品です。そして、優れた経営者とのミーティングによって、いかに多くの企業が、困難な状況にもかかわらず、事業を運営し、革新していく力があるかをあらためて理解することができました。
同国の経済成長の停滞は、ほとんどのミーティングで頭をもたげます。景気回復の兆しや容易に達成できる目標が依然として豊富にあることから、より良い未来への希望は確かに存在しますが、 GNU形成後の目まぐるしい余波の中で飛び交った3%以上のGDP成長率目標は、深い懐疑的な見方をもたらします。あるCFOは「3%以上の成長率について5分ほど話し合ったが、すぐにそのことを忘れて行動を開始した」と述べました。ある晩のミーティングでは、F1が南アフリカで開催される可能性などの気軽な話題を含め、同国の前向きな進展について話しました。しかし、経済成長の観点からは、チェッカーフラッグに向けた歩みはゆっくりで着実なものになるかもしれません。

ケープタウンにて
企業とのミーティング以外では、ケープタウン滞在中に40以上の店舗訪問を行いましたが、その一環として、同市のショッピングセンターを訪問しました。小売業は、今年の南アフリカ株式市場が資源主導で上昇する中、人気がなくほとんど無視されてきたセクターの1つです。光り輝いたのは金とプラチナだけで、どちらも価格が高騰しています。
さまざまな店舗を見学しているうちに、自信や資金を失った消費者をつなぎとめようと、小売業者はできる限りのことをしていると分かりました。各顧客の特性に応じた商品・サービスの提供、効率性に裏打ちされた低価格ブランド、野心的なアスレジャー、お金を使う顧客向けのハイエンド購入経験まで、企業は必要とされることを様々な方法で行っています。私たちは、低価格小売店運営企業とミーティングを行いました。その企業は、低所得の消費者が手頃な価格でスマートフォンを利用出来るようにし、さらに、顧客や取引企業にセキュリティを追加するフィンテック・サービスを提供しています。事業を運営し、革新を行っている企業は、顧客を呼び込み、多くのブランドが苦労する中、成功を収めています。一方、こうした機会を逃している小売業者は、店舗がガラガラで衰退しつつあることが分かります。これは非常に厳しい環境です。私たちが学んだことは、小売市場の中心部分が最も空洞化が進んでいるということです。お金がない人、より割安な商品を求める人、強い憧れを持つ人、裕福な人などに受けないような、特徴が無く万人受けするような商品やサービスでは、レースには参戦できないようです。
ケープタウンで過ごした時間は、同市の運命が同国の他の都市とは少し違うことを思い出させてくれます。インフラは機能し、多くの住民は天候以外には満足しており、全体的に都市は機能しているように見えます。観光も素晴らしく、世界的に見ても割安に魅力的な価値を提供するこの風光明媚な都市は、近いうちに人気になると思われます。
ヨハネスブルグの状況は少し違います。到着すると、この街を悩ませている問題がすぐに明らかになります。現地のドライバーは、市民インフラの老朽化の特徴である道路の穴を避けて運転し、帰宅途中にトラブルに巻き込まれるリスクを避けたいという希望を伝えてきたことから、私たちは夕方のミーティング後すぐに帰路につきました。ヨハネスブルグは、南アフリカの大半の企業が依然として本拠地としており、明らかに大きな可能性が秘められていますが、ほとんどの人が、衰退は始まっており、これを食い止める必要があることに同意しています。また、中央政府レベルでの改善に加え、地方自治体の立て直しが南アフリカの復活の鍵となるとの考え方も浮き彫りになりました。
最終日には、早朝のミーティングで同国の保険市場の詳細について議論を交わした後、ヨハネスブルグ南部のアルバートンにある民間病院を訪問しました。南アフリカではヘルスケア分野が引き続き注目を集める話題となっています。公的制度は著しい資金不足を抱え、国民健康保険をめぐる議論は激化し続けています。私たちは、非常に厳しい同国の医療環境でも治療を行える設備を備え、緊急を要する外傷患者にも対応可能な認定民間病院を訪問しました。

ヨハネスブルグの民間病院を訪問
医療スタッフと過ごした時間は、南アフリカでの生活の複雑さが医療にもしっかりと広がっていることを再確認させてくれます。HIVは依然として蔓延しており、生活習慣病も増加しています。外傷もあまりにもありふれたものとなっています。そして、この3つが組み合わさった症例は珍しくありません。その日の早朝には、事故でヘリコプターで運ばれてきた患者がいることを伝えられました。その病院の元救急隊長からは、同国の病院が対処する症例数が非常に多いことから、世界中から多くの医療専門家が研修に来ていることを聞きました。他の地域でもっと時間がかかるような経験を、南アフリカの病棟では短い時間で得ることができます。南アフリカの環境が、そこで戦う人々に競争優位性をもたらしており、このような医療現場における人材の育成は、その縮図となっています。
今回の訪問の最後のミーティングでは、食品メーカーの経営陣とともに時間を過ごしました。話題は、活気のない事業環境で、同社がどこでイノベーションを起こし、成長しているかということでした。私たちは、それがインフォーマル市場(小規模零細事業者などによる非正規の市場)にあると聞いても驚くことはありませんでした。そこでは、極端に予算が限られている顧客に販売するために、より小さなサイズの製品が求められています。そして、制約があるにもかかわらず、市街地に住む消費者の要望は、依然として、きちんと栄養が摂れる本物の素材を含んだ高品質な製品であると聞きました。インフォーマル市場にうまく対応している企業は南アフリカの市場で利益を得ることができ、この市場を理解する時間をかけられる企業はやがて成功し、将来の成長企業になる、ということは明白です。そのために、割安なものを提供するということはごく当たり前のこととなっており、多くの企業を成功に導いたイノベーションも今まで以上に必要となりつつあります。
この最後の会話が、この国での1週間の滞在から得た重要な教訓を多くの点で明確にしました。南アフリカが直面する問題は一夜にして消えることはありませんが、優れた人口動態や天然資源を有するこの国では、大幅な改善余地が存在しています。しかし、この可能性は、国と地方政府レベルの両方で改善が実行されるかどうかに大きく依存しています。適切な措置が図られれば、大幅な再生を遂げる可能性があります。ただ、現在の状況から一つだけはっきりしていることがあります。それは、南アフリカでは、明日疲れる余裕など無いということです。
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