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コメント要約
米国債利回りは先週、前週の動きをほぼ反転させる形で低下しました。多くの市場において、変動のきっかけとなる強力な材料が不足し、価格はレンジ内の動きに留まっています。
米国政府の一部閉鎖により、多くの経済指標の発表が遅れる見込みですが、労働市場に関しては、先週水曜日に発表されたADP雇用統計が32,000人の雇用減と予想外に弱い結果となりました。
今年初めに実施された、政府効率化省(DOGE)による雇用削減に伴う6ヶ月間の手当が終了し始めていることが、最近の雇用関連指標の軟調さを一部説明している可能性があります。
また、政府閉鎖を機に、米共和党が政権の優先事項に必要ないとみられる業務を担当する職員を削減しようとする動きも、今後数ヶ月での失業率上昇の一因となる可能性があります。
したがって、現時点では上振れリスクよりも下振れリスクの方が大きいと考えており、米連邦公開市場委員会(FOMC)が今月末に再度利下げに踏み切る可能性が高いとみています。
一方で、リスク資産は引き続き底堅く取引されています。OpenAIの従業員が株式を売却する取引によって、同社の評価額は5,000億米ドルに押し上げられ、人工知能(AI)テーマに関連するあらゆるものへの投資意欲が改めて確認されました。そんな中、社債市場では、米国投資適格(IG)社債のスプレッドが75bpsと、過去20年間で米国債に対して最もタイトなスプレッド水準で取引されています。
ただしこれは、国債の供給が過多となっている中、国債の担保価値の本質的な安さを反映している部分もあると捉えています。その点で言えば、社債はスワップに対しては現在115bps程度で取引されており、これは2018年末と同様の水準ですが、2021年のほとんどの時期は100bpsを下回っていました。
このような状況を踏まえれば、国債に対するスプレッドで見れば社債の価格評価は既にかなりタイトとなっていたとしても、スワップに対して見れば社債のスプレッドはさらに15~20bps縮小する余地があるとの議論も可能です。その意味で、社債市場に大幅な魅力を感じることはやや難しいものの、力強い需給面での追い風が引き続きスプレッド縮小を促す可能性もあるとみて、スプレッドのポジションの小幅なロングを維持する方針です。
ユーロ圏では、消費者物価指数(CPI)が前年比2.2%と予想通りの結果となりました。防衛基金からの支出のより迅速な活用に関する議論は続いているものの、現時点において域内の経済活動は依然として比較的低調です。
フランスではさらなる抗議活動が行われており、ルコルニュ首相が進める予算案において政治的突破口を見出すことを困難にしています。しかし、解散総選挙への意欲は限定的であると感じられるため、何らかの妥協が成立する可能性が高いとみています。
フランス国債のドイツ国債に対するスプレッドは、イタリア国債と同様、10年債で見て約80bpsで取引されており、現時点ではおおむねフェア・バリューに近いと考えています。ただし、ルコルニュ氏が辞任に追い込まれた場合、スプレッドはさらに拡大するリスクがあるとの見方を維持しています。
英国では、引き続き政治に注目が集まっています。世論調査において労働党の支持率が低下を続ける中、スターマー首相とリーブス財務相は英国改革党(リフォームUK)を攻撃しようとしています。現時点で選挙が実施された場合、ナイジェル・ファラージ党首率いるリフォームUKが勝利する可能性が高いと、electoralcalculus.co.ukのモデルは示唆しています。
一方、英10年国債利回は4.7%以上で推移しており、増税を伴う予算案と英予算責任局(OBR)の報告書に対するコミットメントを緩めることが、債務への懸念をほとんど緩和しないとの警戒感を反映しています。政策当局との対話の中で、引き続きイングランド銀行(英中央銀行、BoE)が量的引き締め(QT)を即時停止して市場への圧力を和らげ、英国債務管理局(DMO)が長期債の発行を減らすように我々は提言しています。
また、ブレークイーブン・インフレ率が3%以上の状況でインフレ連動債を発行し続けることは、BoEが2%のインフレ目標を達成出来ないことを、DMO、ひいては英政府が暗黙のうちに認めているように見えるという点も指摘しています。
むしろ、債務持続可能性に関する懸念を緩和しつつ、納税者にとってより低い借入コストを固定化することが可能なのであれば、長期債やインフレ連動債を買い戻して短期債や短期割引債に置き換えるまでしても、債務プロファイルを大幅に短期化することが信認回復に役立つのではないかと考えています。
日本では、週末に予定されている自民党総裁選挙の結果を受け、日本の次期首相が誰になるのかを注視しています。世論調査では小泉進次郎氏がリードしているように見受けられ、小泉氏が勝利した場合、円と日本国債がやや上昇する可能性があると考えています。
一方、対立候補である高市早苗氏が勝利した場合、過去の減税志向に基づき、債務持続可能性への懸念が高まることから、国債及び円には下落圧力となる可能性があります。自民党総裁選挙は時に意外な結果をもたらすことで知られており、両候補以外の人物が水面下で選ばれる可能性も否定できません。
しかし、新首相の誕生は、日本における政策がより積極的な局面に移行する契機となる可能性があると考えています。一方で、今月末に予定されている会合で日銀による利上げの可能性を示唆するコメントがないかにも注視しています。
為替市場は先週、概ねレンジ内で推移しましたが、金価格は堅調な需要を背景に上昇を続けています。また、米ドルからの分散化の動きは、デジタル資産や実物資産でも見られます。
最近のハイテク株のパフォーマンスは米国株を支え、米ドル需要を安定させているものの、グローバル株式やエマージング市場(EM)株式が、米国株に対して相対的にアウトパフォームする可能性があると考えています。このような観点から、中期的には引き続き米ドル安傾向の状況が続くと予想しています。
また、投資家のポートフォリオの国内回帰志向の強まりも、そのような見通しを支えると考えています。英国や欧州、その他の国の政策当局者は、国内の高い債務水準と低調な成長・投資環境の中で、国内経済への投資を促進するための税制優遇策について議論を続けています。これは、既存の米国資産への依存からの将来的な資産配分のシフトという話題になります。
ソブリン・クレジット債市場では、パフォーマンス低迷後にややポジションを削減していたルーマニアへのエクスポージャーを積み増しました。価格評価の観点から、ルーマニアは中期的に見て非常に割安であると考えています。クレジット資産全体で魅力的な投資先が少ない中、欧州HY社債の指数であるクロスオーバー指数が250bpsをわずかに上回るスプレッド水準にあることを踏まえれば、長期債のスプレッドが350bpsを超えるルーマニア国債は極めて魅力的に映ります。
今後の見通し
この先、米国政府閉鎖の動向を見据える中で、マクロ投資家は、どの経済指標がいつ公表されるのかという点で不透明な状況に置かれています。多くの点で、共和党と民主党の両者が責任を相手に押し付けようとそれぞれの立場を固めているように見受けられます。
しかし、米国が党派で深く分断されている現状を考えると、有権者の評価もまた政治的バイアスに影響される可能性が高いと考えられます。このような状況では、両陣営がそれぞれの立場に正当性を感じ、弱腰と見られることを懸念する中で、閉鎖が長期化する可能性があるでしょう。
また、この期間は、一部の政治家が自身の知名度を高めるために利用する機会にもなるでしょう。その点で言えば、これまで下院民主党の院内総務として比較的無名だったハキーム・ジェフリーズ氏が、この状況を利用して注目を集めているようにも見受けられます。
これまでに何度か米政府閉鎖を経験している金融市場は、今回のワシントンDCでの政治ドラマに対して比較的冷静な反応を示しています。しかし、閉鎖が長引くほど、サービスや経済への潜在的な影響が大きくなる可能性があると推測されます。
さらに、短期的な経済下振れリスクが高まれば、FOMCが追加的な金融緩和を支持する可能性が高まると考えることは自然でしょう。
閉鎖が長期化することによる影響としては、見通しが不透明になり、不確実性が増大することが挙げられます。その結果、市場のボラティリティが一時的に上昇することも考えられます。
ただし、今週ワシントンDCでの政策当局者との面談予定はスケジュールが詰まっているのですが、スケジュール変更は今のところなさそうです。あるとすれば一部の面談が喫茶店に場所を移す程度でしょう(これは、連邦政府の建物でのセキュリティ・チェックに掛かる時間を大きく省けるという点で、むしろ有り難いことです)。
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