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コメント要約
先週末に掛けては、トランプ米大統領が中国に対して100%の関税を課すと脅したことで貿易摩擦が激化しましたが、その後トランプ氏は焦点を食用油の輸入に絞る動きを見せるなど、ここ数日間ではより融和的な姿勢を見せています。このような米中貿易関連の展開は、過去1年間の動きを反映しているように思われます。
この点に関して、中期的にはサプライチェーンの分断と、地政学的に二極化する経済への移行という流れが見られますが、短期的には、要所での相互依存関係は引き続き存在しており、米国は依然として重要鉱物の輸入で中国に依存しています。このため、トランプ氏は米国経済や金融市場に過度な混乱をもたらさないよう、現実的な路線を取る可能性が高いと考えられます。
一方で、トランプ氏は関税を活用して何らかの成果や政策変更に影響を及ぼそうとしており、例えばウクライナ紛争に関連した所は、もっと自由に行動できる場面だと考えているように思います。
(暫定的ではあるものの)ガザ紛争の停戦という目標を達成した後、トランプ氏はロシアとの突破口を開くために再び努力を注ぐ可能性があります。そしてこの点において、ホワイトハウスでは、資金の流れを止めることがプーチン大統領の目標追求を困難にするという認識が明確に共有されているようです。
米国内では政府機関の閉鎖が続いており、経済指標が投資家に提供されない状況が続いています。米国政府は、連邦法執行官への給与を国防総省の予算などから賄う方法を模索しています。
一方、給与なしで働くことを求められている航空管制官の病欠が増加しており、人員不足を悪化させていることで、米国の空の旅に日常的な影響が及んでいます。航空機での移動の安全性への懸念が高まり、一部の人々は旅行計画をキャンセルまたは延期する判断を下しているようです。
このように、政府閉鎖による経済的影響が拡大する可能性があり、月末までに予算に関して合意を成立させる圧力が高まると予想されます。給与支払いが2回連続で見送られる頃には、抗議活動が増加する可能性もあるでしょう。さらに、追加的な景気の下振れリスクと経済的不確実性が存在する中、10月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が25bpsの利下げを実施する可能性は非常に高く、12月にも追加の利下げが行われる可能性があるでしょう。
ただしその後、2026年の利下げ期待については、経済見通しが堅調さを維持するという前提に基づけば、やや懐疑的にみています。したがって、利下げ期待の剥落を狙った投資機会が生まれる可能性がありますが、現時点ではそのような見方をポジションに反映させるには時期尚早と考えています。
フランスでは、ルコルニュ首相がフランス議会の過半数の支持を得て、辞任表明からわずか1週間でその立ち位置を確固たるものにしました。マクロン大統領の年金改革案を一時的に停止するとしたことで、予算案が合意に至る道筋が見えてきましたが、財政赤字がGDPの5%前後に留まることから、期待されていたほどの財政再建は実現しない見込みです。
短期的には政治リスクの低下によりフランス国債スプレッドがここ最近の拡大分の一部を回復する可能性があるでしょう。スプレッドの大きな拡大を招く要因として、今後の道筋に関する合意形成の努力が引き続き妨げられ、国民連合(RN)の台頭につながる解散総選挙が実施されることを想定していました。このリスクが解消された、あるいは少なくとも当面は後退したことで、ボラティリティの低下が予想されます。
ただし、中期的な信用力の悪化傾向を踏まえて、大手格付け機関S&Pやムーディーズが、フランスの信用格付けをAに引き下げる可能性は高いとみています。したがって、フランス10年国債の対独スプレッドが70bpsを大きく下回った場合には、フランス国債のショート・ポジションを再び構築する好機となる可能性があるとみています。ただし、スプレッドが85bpsに拡大したタイミングでポジションを手仕舞って以降、現時点では同ポジションに強い確信度を持っていません。
英国では、やや軟調な雇用関連指標が発表されたことで、基調的な賃金上昇圧力の緩和が示唆される中、英10年国債利回りは低下し、他市場をアウトパフォームしました。市場では、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)が2026年に掛けて利下げを継続できるとの期待感が高まり、来年の夏までに50bpsの利下げが織り込まれています。
また、与党労働党が、「全ての選択肢がテーブルの上にある」とし、歳出削減が増税と並行して検討されていることを示唆したことも、英国債市場における投資家心理の改善につながり、英10年債利回りは今年3月以来のレンジ下限に近づけました。このような状況を踏まえると、利回りがさらに低下し、10年債で見て4.4%に達した場合には、インフレ・リスクや政治的リスクがほとんど織り込まれていない水準にあるといった見方から、ショート・ポジション構築の好機となる可能性があると考えています。
一方で、世論調査における英国改革党(リフォームUK)の支持率上昇は、次期党首候補のアンディー・バーナム氏がスターマー首相に挑む可能性を事実上排除したように見受けられます。同氏が首相に挑むためには、まず補欠選挙に立候補して議会で議席を得る必要がありますが、現時点では、改革党の候補者に対して勝利できる選挙区を見つけるのが難しい状況であるためです。
足元では、ハト派的な金融政策委員会(MPC)の姿勢を踏まえれば、BoEの利下げ期待は過小評価されているとの見方に基づいて構築した英2年金利スワップのロング・ポジションを維持しています。また、英ポンドについてはショート・ポジションを継続しており、先週はユーロに対して下落しました。
日本では、政治的な不安定さが続く中でも、JGB(日本国債)と円は先週、安定を取り戻しました。自民党と公明党の連立崩壊により、首相選出に関する不確実性が生じており、自民党が過半数を持たない状況では、高市早苗氏がこの地位を確実に得られる保証はありません。
ただし、日本の野党各党が足並みを揃えて行動することは難しいとみており、自民党による少数政権が最も可能性の高い結果であると予想しています。この場合、政策は「閣外協力」に基づいて実施されることになるでしょう。
結果として、ある程度の財政緩和が行われる可能性はあるものの、高市氏自身が望むほどの大規模な緩和には至らないかも知れません。また、日銀の金融政策正常化に対する反対意見にも配慮する必要があるでしょう。この点に関して言えば、今月末に日銀が利上げを行う(あるいは行うことを許される)可能性はほぼないと考えられますが、12月に利上げが実施される可能性は排除出来ないとみています。
社債市場では、いくつかの発行体で注目を集める個別イベントが影響した9月後半の市場環境と比較すれば、センチメントに一定の落ち着きが見られます。プライベート市場では、ファースト・ブランズの破産による影響が一部の投資家に衝撃を与えました。これらの投資家は、安定的で低リスクとされる資産クラス(市場価格に応じて時価評価されない資産)への投資に引き寄せられたと考えられます。
しかし、プライベート・デット市場における信用毀損は以前から増加傾向にあり、今年4-6月期の直近のあるデータでは、デフォルト率が5.5%に達しているとされています。また、信用イベントが発生した場合、コベナンツや投資家保護の弱体化が同時に見られることから、デフォルト時の損失が従来よりも大きくなる傾向がある点も注意を引きます。
一方で、パブリック市場の環境はより建設的です。企業の負債倍率(レバレッジ)はより低位であり、デフォルト率も、上昇傾向にはあるものの、非常に低い水準からの上昇です。経済環境が引き続き良好であり、米金利も低下していることを踏まえれば、今後数ヶ月間に亘って信用リスクは抑制されると考えています。したがって、スプレッドが拡大する場面があれば、投資適格社債におけるベータ・リスクを積み増すことを検討する方針です。
その他の市場に目を向けると、原油価格の下落が過去数週間に亘ってインフレ懸念を和らげる要因となっています。ここ数日間では、原油価格の調整がノルウェー・クローネの下落につながりましたが、ノルウェー経済の基調的な強さを踏まえれば、このような市場の反応は過剰であるとみています。一方、米ドルは前週半ばの上昇分の一部を失い、FRBの利下げ期待が高まる中でやや軟化しました。
暗号資産市場では、前週末に掛けて大幅な下落が見られました。祝日を挟んだ週末に掛けて流動性が低下する市場で、投資家のポジション解消が見られたことがそのきっかけとなりました。24時間365日取引可能であることが同市場の魅力である一方で、明確なサーキット・ブレーカーがない環境でアルゴリズムが取引を管理するリスクが浮き彫りとなりました。
例えば、先々週の金曜日の夜、主要暗号資産であるイーサリアムが30分間で15%下落したことは、ボラティリティを踏まえれば、この資産クラスのリスクに照らしたリターンはそれほど魅力的ではない可能性を示唆しています。さらに、安全とされるデジタルウォレットからの盗難などのセキュリティ・リスクも依然として存在しています。
今後の見通し
今後一週間の市場の明確な変動要因を特定することはやや難しい状況です。米国では引き続き経済指標の発表が遅延しており、次回FOMC会合前のブラックアウト期間に入るため、FRB関係者の発言も控えられます。
欧州では、フランスの政治動向は落ち着くと見られる一方、ドイツでは、自動車業界の苦戦が続き、防衛費を含む財政拡大の恩恵が未だ実感を伴っていない中で、経済指標が引き続き市場予想を下回る結果となっています。
そんな中、エネルギー価格が他国の4倍に達している欧州では、産業界や消費者の自由を奪ってきたネット・ゼロへのコミットメントからの転換を希望する声が高まりつつあり、注目を集めています。
2050年の期限を10年延期するだけでも大きな違いが生じるとされ、歓迎される可能性があるでしょう。政治がより右傾化し、欧州全土でポピュリスト的な方向へと進展している中で、そのような方向へと向かう可能性は日増しに高まっていると見られますが、明らかに全ての人に歓迎される選択肢ではないでしょう。
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