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中国株式は年初来で上昇する一方、インドネシアは下落しています。これは、中国への資金移動だけではなくインドネシアの政治的な問題の影響を受けていると考えられます。インドネシアの株価下落は、プラボウォ大統領の新たなソブリン・ウェルス・ファンド(ダナンタラ)に対する懸念と、政府における軍事的影響力の高まりによって引き起こされました。この下落は、1年間の政策の不確実性と、現政権の混乱させるようなメッセージが招いたものでした。また、2024年初頭の選挙結果から2024年10月の大統領就任までの具体的な政策の不在は、公共支出の不足につながりました。
同時に、マイクロファイナンス融資に危機が生じました。資源価格の下落と停滞する賃金上昇がインドネシアの消費者および市場を圧迫しました。投資家は、米国の利下げとともにそれ以外の地域の金融緩和が行われることを期待して耐えてきました。しかし、米国の選挙結果によって金利の高止まりと米ドル高が続いたことを受けて、ASEAN諸国の通貨は下落しました。
現在、プラボウォ大統領の政策は、ジョコウィ前大統領の投資主導型モデルとは異なる成長志向の社会主義的アプローチを採用していますが、投資家は、政府における軍部の存在の拡大およびダナンタラに警戒感を示しています。レイ・ダリオ氏のアドバイザーへの起用などによってダナンタラの構造と経営がより明確になったこと、さらに、国営銀行の取締役を信頼できる技術官僚を起用して刷新したことは、株式市場の一定の回復を促しました。魅力的なバリュエーションを考えればある程度楽観的な見方はできますが、モメンタムを維持するためには一貫した成長志向の政策と明確なコミュニケーションが不可欠です。
ジョコウィ前大統領の下でのまとまりのある政策実行とは対照的に、プラボウォ政権の不明瞭なコミュニケーションは市場のセンチメントを悪化させています。軍法やダナンタラに対する当初の懸念はありましたが、軍人ではなく有能な専門家をダナンタラの担当者に任命したことは安心材料となっています。
政府内における軍事的役割の拡大により、スハルト時代に見られたような政治にも関与する軍事政権への回帰が懸念されていましたが、現政権は軍事ポストをわずかに増やし、防衛と安全保障に重点を置いただけで、政府との分離を維持しています。
しかし、さらなる民軍統合は市場にマイナスの影響を与える可能性があります。プラボウォ大統領は、軍事的影響力が大きいと、インドネシアの将来と外国からの投資を危うくし、コモディティへの依存を永続させてしまう可能性があるとの認識から、市場の反応に注意を払っているようです。
ダナンタラに対する軍の介入と監視への投資家懸念が、市場の最近の下落の一因となりました。しかし、ダナンタラの取締役会が多様で経験豊富なメンバーで構成されたことは、有効なガバナンスを示唆しています。現在過小評価されているこの市場は、短期志向の投資家が買いに参加したことで反発がみられました。プラボウォ大統領の国内消費に向けた政策の明確さが、投資家にとって次の焦点となるでしょう。
インドネシアは、国内の課題にもかかわらず、BBB格の信用格付けを維持しており見通しも「安定的」とされています。これは堅調な経済基盤、成長の可能性、そして財政規律に対する信頼を示しています。
投資家は、ジョコウィ前大統領のインフラ投資からプラボウォ大統領の消費重視への政策移行を懸念しています。プラボウォ大統領の「無料の学校給食」プログラムは、いいことではありますが、十分ではありません。インドネシアは雇用を創出し、賃金を押し上げるために、より多くの海外直接投資(FDI)を誘致しなければなりません。EVバッテリー分野にはある程度の投資が見られますが、より広範な分野におけるFDIが必要と考えられます。インドがFDIの誘致や民間および公的部門への投資に成功しているのとは対照的に、インドネシアの経済成長は潜在成長率を下回ると見込まれています。これは、インドネシアの政策の緩慢さを浮き彫りにしています。
無料学校給食プログラムのようなポピュリスト的施策は、質の高い成長という点では議論の余地があります。インフラ投資は、雇用とFDIの誘致にとって引き続き重要です。ボルネオに建設中の新首都「ヌサンタラ」のようなプロジェクトが議論されており、空港、道路、公共交通機関に重点を置くことが有益であるとの提案もなされています。FDIは、エネルギー不足を解消し、通貨を支え、経済の安定性を高めるために不可欠です。
ドル安を受けて、インドネシア中央銀行は政策金利を引き下げました。これが、国内経済と不動産市場を支援することにつながるかもしれません。コモディティ市況の回復、FDIまたは公共支出の増加、金利の引き下げ、政府へのさらなる軍事的関与の回避は、インドネシアに対する見通しを改善させる可能性があります。2025年1-3月期の経済成長はやや鈍化しましたが、マイクロファイナンスの不良債権問題は2025年半ばまでに解決され、年後半には信用コストが低下し、銀行収益が改善する可能性があります。大手優良銀行は、10年ぶりの低いバリュエーションで取引されており、投資機会を提供しています。銀行が株式市場の60%の割合を占めていることを考えると、こうした安心感は市場のアップサイドにつながるでしょう。
インドネシアは新興国株式市場に占めるウェイトが小さく(新興国株式ベンチマークの1.2%)、この市場が新興国市場全体のパフォーマンスに影響を与えるようになるには大幅な成長が必要です。投資家は、同国市場のバリュエーションと成長可能性に自信がもてれば、かなりのオーバーウェイトを選択することができます。ただ、利回りの高さや通貨価値の下落もありバリュエーションが魅力的となっている一方で、プラボウォ大領の政策の有効性や5%成長の実現可能性については、依然として疑問が残ります2。大型株が少なく売買流動性が課題となっている状況を踏まえると、確信度のある長期保有の投資が必要であると考えられます。そもそも、ベンチマークの1.2%しかない市場に対して確信を持てないのであれば、その市場の株式に投資する必要は無いかもしれません。
私たちの新興国株式運用チームは、常にインドネシアの株式ストーリーを選好しており、他のほとんどの外国機関投資家と同様、オーバーウェイトのポジションを継続してきましたが、このオーバーウェイトは過去18ヶ月間で低下しています。足元は、プラボウォ大統領の政策が正しい方向に進んでいることを確認したい一方で、長期的に見ると、同国の消費者市場は、多くの人口を抱え、年齢構成も若く、都市化が進んでいることから、急速に成長しており、その潜在的可能性は依然として魅力的と考えられます。生産年齢人口は従属人口よりも急速に増加し、今後10年間で毎年160万人が労働市場に参入すると予想されており、同国の労働力市場も拡大しつつあります3。
このような人口動態の優位性は、教育や都市化の進展とともに、中所得国となったインドネシアをさらに有利な立場に導いています。雇用創出の必要性はありますが、人口ボーナスと現在の魅力的なバリュエーションによって、私たちは同国株式市場に前向きな見通し持っています。
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