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コメント要約
先週の金融市場では、米長期国債利回りが上昇し、米国債イールドカーブがスティープ化しました。ケビン・ハセット氏が間もなく次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されるとの観測が強まったことがその背景にあります。市場参加者は、ハセット氏を他の候補者と比較してハト派的と捉えています。
このことが短期金利見通しの支えとなったものの、2026年に掛けて、同氏がトランプ大統領に配慮することがインフレリスクを高めるとの懸念も浮上し、長期債が売られる結果となりました。
しかし、考えてみれば皮肉なことに、トランプ大統領がFRBの利下げを求めている主な理由は、住宅ローン金利の低下を望んでいるからです。また同氏は住宅のアフォーダビリティ改善と、不動産市場の活性化を狙っています。
一方で、大統領の介入によってFRBの独立性や、FRBの物価の安定という目標へのコミットメントへの懸念が高まれば、むしろ反対に住宅ローン金利を押し上げてしまうリスクがあります。
そのような点を踏まえ、次期議長が誰になろうと、FRBが伝統的な政策スタンスを維持し、ホワイトハウスの圧力に抵抗する姿勢を貫くと予想しています。
このような見方を踏まえ、堅調な米経済を背景として、FRBによる2026年の利下げ回数は現時点での市場の織り込みよりも少なくなると予想しています。ただし、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが実施されるとみられることや、政府機関閉鎖に伴う11月の経済指標の下振れリスクを考慮し、今はまだ金利デュレーションをショートに移行するタイミングではないと考えています。
しかし、2026年に掛けて、米金利のショート・ポジションへの移行は興味深いポジションとなりそうです。また、より大幅な利下げがない限りは、米イールドカーブの更なるスティープについては限界があると考え、ここ最近のカーブの動きを活用して、これまで保有してきた米金利のスティープ化に備えたポジションを解消しました。
米国経済に関して言えば、これまでに発表された利下げや減税、規制緩和は、いずれも2026年の経済成長に強力な追い風となります。さらに、継続的な人工知能(AI)関連投資の加速が来年上半期の経済活動を下支えするでしょう。
雇用増加ペースは鈍化しますが、これは移民の純流入減による労働供給側の制約が主因とみています。したがって、向こう数ヶ月での失業率の大幅な上昇は想定しておらず、週次の新規失業保険申請件数が30万件を上回るような懸念すべき雇用の悪化は、現時点ではそれほど見受けられていません。実際、同指標は22万件を下回り低位安定した水準を維持しており、労働市場の堅調さを裏付けています。
先週は、欧州でも米国同様にイールドカーブがスティープ化しました。購買担当者景気指数(PMI)は2年ぶりの高水準と、市場予想を幾らか上回る内容でしたが、国別の指標を見てみると、引き続き南欧の堅調な成長と、北欧の低迷という地域間格差が見られています。
ドイツでは、経済及び産業の低迷が深刻化しており、メルツ首相への圧力が強まっています。連立政権崩壊リスクはあるものの、総選挙は右派「ドイツのための選択肢」(AfD)のみに有利であると見られ、同党の台頭を避けるために回避される見通しです。
一方、凍結されたロシア資産のウクライナ支援充当に関するベルギーの反対を封じる動きは、国際的な先例としてはいくらかリスクをもたらす可能性があります。ただし、仮に承認されれば、米国の追加支援に関する不透明感が高まるタイミングで、欧州側の財政負担軽減に寄与する可能性もありそうです。
ユーロ圏では、周辺国国債とドイツ国債のスプレッド縮小が継続し、イタリア10年国債のスプレッドは先週、2009年以来初めて70bpsを割りました。
当社では、ドイツの財政拡張に伴うドイツ国債増発見込みを踏まえ、周辺国スプレッドに更なる縮小余地が残されているとの見方から、イタリアおよびユーロ圏周辺国スプレッドのオーバーウェイト・バイアスを維持してきました。
欧州ソブリン債投資では、今年を通じてルーマニアを最も選好しており、足元でも奏功しています。投資適格級のEU加盟国でありながら、同国の10年債スプレッドは300bps超と、依然として割安感があるとみています。
英国では、予算発表以降、債券市場のセンチメントには幾らか改善傾向が見られました。低成長の見通しから、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)が現在市場で織り込まれている以上の利下げを実施する余地があるとみており、これは米FRBの見通しとは対照的です。
また、英長期国債の発行の減少や、量的引き締め(QT)による売却の縮小によって、2025年の大半の期間と比べて、2026年は英国債の需給面も幾らか改善するとみられます。一方で、更なる増税によって社会保障支出を優先する政策ミックスへの懐疑的な見方が残ることから英国のリスク・プレミアムは依然として残るものの、政治リスクに関しては短期的には低下する可能性があるとみています。
過去数ヶ月間に亘り、リーブス財務大臣とスターマー首相の英労働党内での孤立が懸念され、それぞれ職務に留まることが出来るかどうかが日増しに不安定となっていました。スターマー氏が、苦境に立つリーブス氏を予算成立後に更迭し、時間稼ぎを図るとの見方が一部では存在していました。
しかし、過去数日間でリーブス氏が嵐の最悪期を乗り切った感があり、同氏更迭シナリオの可能性は低下しています。金融市場の参加者は、英労働党の左傾化を警戒しており、いかなる政治的変更もネガティブに受け止められる可能性が高いでしょう。
そのため、不人気であることはさておき、リーブス氏が当面続投する見込みであることは、英国債市場には概ね好意的に受け止められています。このような状況を踏まえ、当社は英国債を小幅なオーバーウェイトに移行しました。ただし、英国の成長見通しは引き続き低調であるとの見方や、その結果として金融緩和が予想されることから、英ポンドについてはショート・ポジションを維持しています。
先週は、日銀の植田総裁の明らかにタカ派寄りの発言を受け、金融市場では当月の日銀会合での利上げ確率が90%織り込まれる展開となりました。植田総裁の発言を前に、高市首相が演説内容を見て、これに同意したとの見方が強まっています。
結果として、自民党執行部が日銀の政策正常化を遅らせるとの懸念が後退し、円相場が安定化したほか、イールドカーブ上においても相対的に年限の長いゾーンが恩恵を受けました。これは、インフレ過熱を許容しない、より責任ある姿勢が評価されたものと言えるでしょう。一方、日本の10年国債利回りは2%に向けて上昇を続けています。日本国内の投資家は、2027年度初頭までに日銀の政策金利が中立金利の下限とされる1.5%に到達する可能性を想定し、2.0-2.25%を10年国債利回りのフェア・バリューと認識しているようです。
過去1週間の為替市場では、ハセット氏がFRB議長に就任した場合のハト派政策期待から米ドルが軟化しました。しかし、当社は今後も当面、成長における米国の優位性が継続すると予想しており、米ドルの下落基調が拡大するとは考えていません。
今後の見通し
今週最大のイベントは水曜日に予定されているFOMCです。次期FRB議長の正式発表は、FOMC近辺のブラックアウト期間終了後となる見通しです。
その後は、BoE及び日銀の重要な会合が、クリスマス休暇前の最後の注目イベントとなるでしょう。また今年の末は、2026年初めのオランダの年金基金によるポートフォリオ・ヘッジの調整に伴う資金フローの不確実性から、ユーロ金利市場が例年よりも活発化する可能性があります。ただし、今週末以降に市場流動性が漸減していくにつれ、年末に掛けては願わくば平静な市場展開になると予想しています。
クリスマス・シーズンで市場の流動性が低下する期間においては、キャリー重視の投資が有効となるでしょう。例年、年末に掛けては市場をある種の休暇ムードが支配し、1月は希望に満ちた、楽観的なムードで始まり、その後月半ばから期待が徐々に剥落していく傾向にあります。
このような傾向を踏まえ、現時点でリスク資産を積み増し、新年に向けて徐々にリスクを縮小していく戦略が選好します。しかし、市場は依然として人間心理に左右される性質にあり、少なくとも向こう数週間は、誰しもがグリンチのようなひねくれた存在とは見られたくないことでしょう。
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