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コメント要約
先週発表された米消費者物価指数(CPI)は市場予想に沿った結果となり、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを再開するとの見方が一段と強まりました。一部では50bpsの利下げを求める声もあるようですが、大方の参加者は25bpsの利下げを支持する可能性が高く、これにより実効FF金利は4%をやや上回る水準となる見込みです。
また、その後の会合でもさらなる利下げが行われるとみられています。一般的に、中央銀行が利下げを開始する際には、一連の調整が続くことが前提とされています。このような観点から、2026年に向かう中で、金融政策の方向性や最終的な到達点を示唆する兆候に多くの注目が集まることになるでしょう。
労働市場の弱さに関しては、非農業部門雇用者数(NFP)の過去データが累計で91.1万人下方修正されたことは、米労働省の労働統計局(BLS)が以前に示唆していたこともあり、概ね市場の予想通りでした。しかし、ここ最近は、雇用の弱い状況がFRBの政策判断を変化させる主因となっています。
その上で特筆すべきは、移民の急減や海外労働者の減少により、安定した失業率を維持するためのブレークイーブンの水準が、過去労働供給が増加していた時期と比べて低くなっているという点です。このため、月間7万人程度の雇用増加は、過去の水準と比較すると低調に見えるかもしれませんが、現在の状況では概ね正常とも言えるのかも知れません。
一方で、企業が人工知能(AI)投資を進め、効率性を向上させる中で、雇用市場の基調的なトーンはしばらく弱い状態が続くかも知れません。例えば、雇用が機械に置き換わりつつあるテクノロジー職の減少に着目してみると、マグニフィセント7(米国の主要ハイテク企業群)の収益は急成長しているものの、これらの企業が雇用する労働者総数はこの1年間で実際に減少している点は興味深いと言えるでしょう。
次期FRB議長の選出レースに関しては、トランプ米大統領が候補者をケビン・ハセット氏、ケビン・ウォーシュ氏、クリストファー・ウォラー氏の3名に絞り込んだ模様です。
ウォーシュ氏はFRBのバランスシートを大幅に縮小する急進的な政策を支持することで知られていますが、ここ数週間で取り沙汰されていた、より「型破りな」候補者ではなく、比較的主流派からの選出であったことから、市場は一定の安心感を抱いているようです。最終的な候補者は、政権の金融政策や経済観と非常に近い立場の人物になる可能性が高いと考えられます。
したがって、2026年に向けては、よりハト派的なFRBが予想されるほか、政治的干渉の批判をより受けやすくなる可能性もあるとの見方を維持しています。インフレが引き続き穏やかであれば、利下げを実施することに大きな問題はないでしょう。しかし、物価上昇の勢いが加速する兆候が現れた場合、状況は一層困難になる可能性があるとみています。
フランスでは、バイル内閣の崩壊を受け、マクロン大統領が新たな首相としてセバスチャン・ルコルニュ氏を指名しました。先週のコメントでも触れたように、中道派の政党には、極右の国民連合(RN)に勝利のチャンスを与えかねない解散総選挙を回避したいとの思惑があります。
しかし、財政赤字に関してEUを満足させるための十分な措置を講じつつ、ポピュリスト的な緊張を煽らない形で、予算案を合意にこぎ着けることは依然として極めて困難な状況です。妥協を模索する中で予算削減が少なくなれば、財政赤字は従来の目標を上回り、フランスの国家債務の長期的な軌道にさらなる圧力を加えると見られます。フランス10年国債はここ最近の下落分の一部を取り戻す可能性があるものの、スプレッドの縮小には限界があると考えています。
さらに、基調的な政治状況が分断化したままであれば、投資家が2027年の大統領選挙の結果を懸念する中で、過激な政党が引き続き恩恵を受けるとみられます。
イタリアのように、身の丈を超えた生活を続けることはできないと長年かけて国民が学んできた国と比較すると、フランス社会はこのような事実に頑なに抵抗しているように見受けられます。そのような観点から、フランスの信用力や信用格付けは中期的に悪化の一途を辿る可能性が高いとみています。
先週首相を失ったのは、フランスだけではありませんでした。日本でも、先の参議院選挙での敗北以来続いていた、党内からの圧力の中で石破茂氏が辞任しました。当初、後任候補として高市早苗氏の名前が挙がり、追加の財政緩和や日銀の利上げ停止を推進する可能性があるとの見方から、日本国債や円が弱含む展開となりました。
しかし、12か月前とは異なるマクロ経済の動向を踏まえ、小泉進次郎氏が有力候補として浮上しているようです。その場合、円相場や債券市場はここ最近の低迷からある程度回復する可能性があるとみています。
そんな中英国では、未払い税金に関する暴露を受け、副首相が辞任しました。これにより、党員による投票で新たな指導者を選出する選挙が行われることになりますが、党内ではスターマー氏やリーブス財務大臣への不満が広範に高まっており、レイナー氏よりもさらに左寄りの候補者が選出される可能性があります。
レイナー氏の辞任によってスターマー氏自身が失職する可能性は低下していると見られるものの、中期的には状況がさらに難しくなる可能性があります。
また、ロンドンの地下鉄労働者が(再び)ストライキを行っていることにも見て取れるように、英国が経済的および政治的に困難を抱えているという見方は払拭しがたいものとなっています。このような状況が企業や消費者の心理に重くのし掛かる中、英国資産や英ポンドは今後も当面、試練にさらされる可能性があるとみています。
米イールドカーブに関しては、トランプ氏がFRB議長職に型破りな外部候補者を検討していないとの報道はいくらか安心感を与える可能性があり、長期金利の安定に寄与するでしょう。しかし、イールドカーブについては、長期債の売りよりも、政策金利の引き下げが、再スティープ化を主導する次なる主因になるとの見方を維持しており、FOMCが利下げサイクルを再開する中で、これが実現することを期待しています。
その他の市場では、通貨戦略において円とユーロのエクスポージャーを追加した一方、米ドルのショート・ポジションを増やしました。とりわけ、選挙において右派政党が多くの予想を上回る結果を残したことを受け、ノルウェー・クローネが選挙後に力強いパフォーマンスを見せました。
今後の見通し
先週、米国で逮捕された現代自動車の韓国人従業員が、逮捕された後に鎖に繋がれた様子を捉えた写真は、トランプ支持層には好感されるかも知れません。しかし、これらの従業員は米国内に新たな工場を建設することで、米国内での雇用創出を担っていたであろう熟練労働者であることを踏まえると、このような対応が海外からの投資を遅らせたり、抑制したりすることで最終的に利益よりも害をもたらしてしまうリスクも孕んでいると言えるでしょう。
海外企業は、自らの従業員にも同様の運命が降りかかることを懸念し、慎重になる可能性があり、ビザ申請の滞留もスキル不足を埋めることを困難にしている中、こうした政策が米国の利益を損なうリスクもあるでしょう。このような専門的な分野において、国内での労働力供給が十分となるためには数年を要するとみられるためです。
こうした点を踏まえれば、政策や地政学的な変動によって引き起こされている可能性のある、一連のイベントの連鎖反応について思いを馳せざるを得ません。この一週間で2人の首相(加えて英国では副首相と大使)が辞任したという事態は、多くの国において政府債務が増大する中、不満を募らせる社会を満足させるのに苦慮している様子を映し出しているようです。米国ではチャーリー・カーク氏の暗殺が報じられ、新たな政治への暴力が発生しました。
また、イスラエルはカタール国内で軍事作戦を実施し、ポーランドがロシアのドローンを撃墜するなど、潜在的な緊張の火種も多く存在しており、現在のグローバルな金融市場に見られる平穏なムードが突如として崩される可能性もあります。最終的には、経済が景気後退に陥らない限り、クレジットのような資産クラスは良好なパフォーマンスを維持出来るでしょう。しかし、市場の慢心が見受けられる場合や、比較的割安にヘッジを構築出来る場面では、ヘッジ・ポジションを維持する方針です。
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