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コメント要約
先週は、比較的静かな市場環境の中で、長期金利が低下基調を維持しました。現在、米国政府の一部閉鎖により定期的な経済指標の公表が停止されている状況が続いています。
ただし、金曜日にはその流れに変化が見られ、米労働統計局(BLS)が9月の消費者物価指数(CPI)を発表しました。インフレ指標は、年金や社会保障給付金を物価変動に合わせてスライドさせるために必要で、その算出が優先され、職員が呼び戻されています。総合インフレ率は上昇し、コアインフレ率は前年比3.0%となりました。
関税コストが消費者に転嫁される中、今後数カ月間、これが財インフレを押し上げる要因になると考えています。関税のインフレへの波及に関する分析では、その影響が関税導入後の3四半期から4四半期後にピークを迎えることを示しているためです。
一方で、ここ最近の原油価格の下落はインフレの上昇を抑制する助けとなっています。しかし、先週の米国によるロシア産原油への制裁強化により、原油価格は9月初めの水準に戻りつつあります。また、人工知能(AI)のデータセンター需要が電力料金を押し上げている点も注目に値します。
この点で言えば、米国の物価連動国債(TIPS)で見たブレークイーブン・インフレ率は、5年債で2.3%程度と、魅力的な水準になりつつあると考えています。
ただし、ブレークイーブン・インフレ率は名目金利の動きとの相関が高い傾向があるため、ブレークイーブンの水準を基に物価連動債をロングすることは、構造的には金利デュレーションをショートするポジションを取ることと類似しており、現時点でこのような取引を採用することは依然として、やや時期尚早であると考えています。
これまでにも指摘してきた通り、米政府機関閉鎖が解除され、米国の雇用統計が発表されれば、更なる労働市場の軟化の兆候が示されると予想しています。これは短期的には金利のさらなる低下につながる可能性があり、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で米連邦準備制度理事会(FRB)は追加利下げを行う方向にもあります。
ただし、雇用統計の軟調な結果は、経済が弱体化している兆候というよりも、過去数年間に労働供給を押し上げてきた移民流入の反転による側面が強いとみています。
したがって、失業率は比較的安定した水準に留まる可能性が高く、米国債利回りのさらなる低下は、金利デュレーションのショート・ポジションに移行する、より魅力的なエントリー・ポイントを提供する可能性があると考えています。
ユーロ圏に関する報道も引き続き概ね静かな状況が続いています。広範に見渡せば、今年初めに発表されたドイツの財政緩和やEUの防衛支出拡大計画に関連する熱意が高った以降、これが域内の経済活動を実際に大きく押し上げることは今のところほとんど見られておらず、ある種の落胆すら広がっています。
とは言いながらも、予算の割り当てや発注が必要であることを踏まえれば、この計画された支出がいまだ明確に成長に反映されていないのは、さほど驚くべきことではなく、その影響は2026年の後半に、より顕著になる可能性があります。ただし現段階では、ユーロ圏の基調的な経済環境は依然として低調です。自動車セクターは、中国が世界のEV市場を支配している中で、混乱状態にあります。
また、相対的に高いエネルギーコストやグリーン(環境)税、官僚主義や規制の多さが、継続的に経済活動の妨げとなっています。したがって、欧州中央銀行(ECB)は2026年1—3月期にもう1回利下げを実施し、政策金利を1.75%に引き下げる可能性があると考えています。ただし、ドイツ10年国債利回りが2.5%を下回る水準で取引される場合、今後数四半期で発行増加が見込まれることも踏まえて、価格面で魅力を見出すことは難しいと考えています。
英国では、市場予想よりも穏やかなCPIが発表され、苦境に立たされている政策当局者にとって歓迎すべき安心材料となりました。CPIは依然として3.8%で推移しており、小売物価指数(RPI)も4.5%となっていますが、金利先物市場では、イングランド銀行(英中央銀行、BoE)が来年夏までに政策金利を50bps引き下げることを織り込んでいます。
ここ最近の短期金利の低下を受けて、英短期金利のロング・ポジションについてはターゲットに達したことから解消し、中立的なポジションに戻しました。一方で、英10年国債利回りの水準は4.4%近辺では低すぎると考えており、次のステップとしては、金利デュレーションをショートに移行する可能性があります。
ただし、英国債はドイツ国債や米国債に比べて出遅れており、他市場での国債利回りの低下基調が続けば、英国債利回りもつられて低下に向かう可能性があるでしょう。利回りの低下は、11月の予算編成を準備するレイチェル・リーブス財務相にとっても歓迎されるとみられます。究極的に言えば、利回りが低い水準で推移するほど、政府財政の赤字を解消するために増税や歳出削減を行う必要性は低くなります。
とは言いながらも、歳出ではなく税金に焦点を当てようとする傾向は、政策的な欠陥であると考えています。スターマー氏に対する政治的トラブルも依然燻っている中、今後数カ月で英国債市場に再びプレッシャーが掛かる可能性は十分にあるとみています。
日本では、高市早苗氏が首相に就任し、早くもガソリン税の引き下げや、その後の追加措置が予定されるなど、財政緩和を実現するための計画に着手しています。
しかし、国会内での支持を確保する必要性によって、(短期的には比較的可能性が低いと見られる)解散総選挙が実施されない限り、政策緩和の規模は限定的となる可能性があるでしょう。このため、過去1週間では日本国債(JGB)利回りが比較的安定的に推移し、月初に行われた自民党総裁選での高市氏の勝利を受け上昇していた長期債利回りはその上昇分を回復しています。
一方、高市氏がよりハト派な金融政策を推進したいという意向を示していることは、日本円相場に重くのし掛かっています。円は昨年中ば頃に対米ドルで記録した安値からはまだ一定の距離があるものの、先週は対ユーロで1ユーロ=177円と、過去最安値を更新しました。さらに、対英ポンドでも17年ぶりの安値圏にあり、今年のクリスマス・ショッピングでお得な買い物をするなら東京が最適な場所であることはほぼ間違いないでしょう。
一方、社債市場においては、お買い得な案件はほとんど見当たらないようです。ただし、国債に対する社債のスプレッドが歴史的にタイトであるという点は依然として事実ではあるものの、バブルの懸念は行き過ぎであると考えています。
スプレッドの評価の一部は、国債の供給過剰に伴う国債の割安化を反映しています。このような現象は、引き続き米国債がスワップを大幅に上回る利回り水準で取引されていることからも見て取れ、これがリスクフリーレートの指標となっています。この点で言えば、スワップに対して見た投資適格社債のスプレッドは、直近2021年に見られたバリュエーションから15bps程度ワイドな水準に留まっています。
そんな中、JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏が「ゴキブリ」の比喩を用い、1つや2つの信用破綻が起きると、その水面下に潜む問題がさらに浮上する可能性を指摘しましたが、例えばトライカラー・ホールディングスのような資産担保証券(ABS)の発行体で見られた問題は、社債市場の基調的な状態を反映したものと言うよりは、むしろ企業による不正の事例と捉えることが出来るでしょう。
強気(ブル)相場では、油断や監視の欠如が生じやすいものの、広範囲または慢性的に不正が発生しているとは考えていません。さらに、プライベート市場を除けば、レバレッジ比率や経済見通しを考慮しても、社債市場に大きなストレスの兆候は見られません。
その意味で、景気後退リスクが低い、もしくは低下している限り、社債市場は堅調さを維持する傾向があると言えます。景気後退リスクが高い、もしくは上昇したりする局面が、社債市場に対する懸念が高まるタイミングであると言えますが、現在はそのような状況にはないとみています。
今後の見通し
この先を見据えると、米国政府機関の一部閉鎖を解決するための圧力が、月末に掛けて高まると予想されます。政府閉鎖が無期限に続くことは明らかにあり得ないため、問題は妥協が「いつ」見られるかであり、妥協が「あるかどうか」ではありません。
一方、FRBが今週の会合で政策金利を25bps引き下げるとみられる中、政府機関閉鎖に関連した雇用への下振れリスクに言及があれば、12月のFOMCでのさらなる緩和の可能性が高まる可能性があります。2025年末までに2回の利下げが実施されれば、政策金利は一部のFRBメンバーが長期的に中立的な金利水準と見なすレベルに近づくことになります。
その結果、2026年のさらなる金融緩和の可能性は低くなると考えています。とりわけ、利下げや減税、規制緩和を背景に、2026年の経済成長率が3%に加速する場合は、尚更でしょう。また、CPIが今後数カ月で3.5%以上に達する可能性を踏まえれば、より積極的な緩和策を求めるためのハードルは高くなると言えそうです。
その他、貴金属市場の値動きは、先週も引き続き大きな注目を集めました。米トランプ政権下におけるFRBの独立性に対する懸念が一部で取り沙汰されている中、ここ最近の金や銀価格の投機的な上昇が「ディベースメント取引(通貨価値切り下げトレード)」の一環として語られることもありますが、このような見方はやや見当違いであると考えています。
むしろ、2022年にロシアの外貨資産が制裁を受けたことをきっかけに、外貨準備の「兵器化」が懸念される中で進んできた、貴金属への資産配分の一環であるとみています。
このような背景から、ロシアと同様のリスクが将来的に起こりかねないことを懸念する外貨準備運用者や国家機関が、金のような安全資産を求めるのは当然の流れと言えるでしょう。
最近では、個人投資家がモメンタムに乗じてこの動きにさらなる勢いが加わり、暗号資産や「デジタル・ゴールド」と呼ばれる他の資産から実物資産へのローテーションも見られています。このような点を踏まえ、先週見られた金や銀価格の記録的な急落などの価格の動きを、投機的バブルの少なくとも一時的な崩壊だ、と過剰に解釈するべきではないと考えています。
ここ最近、バブルに関する議論が非常に注目されていますが、その背景には米国のハイテク及びAIセクターのバリュエーションの高騰が挙げられます。その点で言えば、足元の総合的な価格評価は大幅に過大であるように見え、これは、今後5年間で過去5年間と同等か、もしくはそれ以上の利益成長が必要であることを意味しています。
しかし、利益が現在のような高い基準に達している中で、こうした成長期待は非現実的であるように思われます。そのため、二次微分された利益成長率(成長率の変化率)が急速に鈍化し、その後マイナスに転じることは避けられないように見受けられます。しかしながら、価格評価に関する分析が株価を動かしている訳ではなく、引き続き個人投資家が市場の主導権を握っています。
このことがここ最近、多くのプロのアクティブ株式運用者がベンチマークに追随することに苦戦している理由を説明しています。このような現象は1999年にナスダック市場で見られた傾向と比較されることがあります。
しかし、バブルの終焉は通常、ベア(弱気派)の投資家が降伏を余儀なくされるときに訪れることも認識しており、そのような時点には依然として達していないように見受けられます。さらに、そのときが訪れるまでには、レバレッジがさらに積み上がり、強欲がさらに加速する余地があるかも知れません。
その意味で、ナスダック総合指数は1999年1月から2000年3月の間に129%という驚異的な上昇を記録し、その後の18カ月間で70%以上暴落しました。バブルが膨らむ最中に早まって反対のポジションを取ることは、コストの掛かる手痛い失敗となるかも知れません。もしかすると、先日ルーブル美術館で、防犯カメラを誤った方向に向けてしまっていたという致命的なミスよりも、コストが掛かるかもしれません。
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