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見た目や名前からは想像しにくいですが、「ピンプルスープ」は中国で食べた料理の中でも最高の料理の一つでした。これは英語のことわざ「表紙で本を判断するな(見かけで判断するな)」を思い出させてくれました。不確実性の世界で、米国の政策決定プロセスが投資家を混乱させている中、中国は政策ミックスの安定性と長期的な視野において常に対照的な存在であると言えます。
センチメントについては、1年前とあまり変わっていません。あるとすれば、給与削減(年初には70%カットとなる場合まであると聞きました)の実施は、消費者需要にさらなる波及効果をもたらしています。また、春先に実施されたビジネス会食でのアルコール禁止令も「(酔いがさめるような)冷静な」効果をもたらしました。
興味深いことに、問題を抱える不動産デベロッパーのプロジェクトをいくつか訪問した際、建設完了のペースが著しく上昇していることを目の当たりにしました。しかし、センチメントと建設活動には乖離があり、その理由は利益配分にあります。売却されたプロジェクトからの収益は、デベロッパーではなく、国有企業(SOE)の建設会社に流れます。デベロッパーは、国内外の債権者との交渉を何度も行っていますが、すべての関係者にとって、財務的な利益はほとんど期待できません。
リターンの観点からは、中国の不動産市場は魅力的な投資先とは言えません。供給サイドの不確実性に加えて、1-2%の賃料利回りは3-4%の住宅ローン利回りを大きく下回っており1 、この資産は投資の面で魅力的ではありません。同時に、過剰生産能力の課題は、依然として残っています。消費者需要の低迷に加えて、デベロッパーが民営企業(POE)であることが、10年前と比べて政府が行政措置を実施することを困難にしています。
2015年に、鉄鋼の過剰生産能力がSOEに集中した際、政府はより効果的にセクターの整理統合を行うことができました。実際、収益性を改善するために、銀行から自動車メーカーに至るまで、多くのセクターで統合が必要とされています。150から200の自動車メーカーと4,300以上の銀行が制度内に存在し2、厳しい競争は収益性を低下させ続けています。政府は整理統合を奨励していますが、進展は遅れています。
しかし、政府は追加の景気刺激策を急いで実施するようには見えません。この背景にはいくつかの理由があります。第一に、主として名目GDP成長率に注力していることです。最近発表された2025年第2四半期のGDP成長率は、前年比5.3%増3という驚きの好結果でした。しかし、GDPの13%に過ぎない税収(数年前は15%)の低迷は、成長が収益性を犠牲にして達成されていることを示しています。
中国は2018年以降関税の対象となっており、最近の関税引き上げにも比較的うまく対応していますが、追加関税は最終的には国内のデフレ傾向を助長します。いくつかの工場を訪問し、現在の関税にもかかわらず、特定の製品の輸出価格が欧米の5分の1であることを知りました。工場にとって最大の問題は、国内顧客からの未払いリスクであり、5ヶ月の遅延が新常態となっています。
政府はデフレ圧力を認識していますが、この傾向を逆転させようとする緊急性には欠けているようです。政府は、GDPの0.3%のコストで、一部の消費財に補助金を提供する、いわゆる「反インボリューション」(または反デフレ)措置を導入しています5。
しかし、それ以上の対策が必要であるように思われます。デフレ傾向を逆転させるために、政府は、多くの物品に最低価格を導入し、同じように関連性のあるものとして、完成した物件のかなりの割合を購入することによって不動産セクターを支援することができます。一部の専門家は、GDPの8%近くに相当する少なくとも10兆人民元(特別発行債券を通じて)の支援パッケージが必要であると推定しています。
財政支援が政策オプションとして実施されなかった場合、中国人民銀行(PBOC)はさらなる利下げ圧力を受けるように思われます。消費者物価指数(CPI)がマイナス2%となるなか、預金金利が1%であるのに対して、中立金利はゼロに非常に近い水準であるべきだと主張することもできます。
経済活動が弱いにもかかわらず、一部の金融資産はアウトパフォーマンスが継続する可能性があります。預金及び政策金利が低下傾向にあることから、短期金融市場の国内投資家は代替投資先を探す可能性がありますが、資本取引が制約されているため、中国の貯蓄者は投資の選択肢が比較的限られています。現地通貨建て債は昨年、魅力的なリターンを提供し、10年債利回りは1.65%まで60bp以上低下しました。株式市場は、配当利回りが4~5%と魅力的な水準となっています6。
さらに、不動産市場の回復が見られず、これを促進するための財政刺激策が欠如していることと、5万米ドルを超える海外への投資を制限することとが相まって、投資の選択肢はさらに狭まっています。債券市場では、中国当局は引き続き、現地のソブリン債市場への海外投資家の参入を拡大する努力を続けています。債券通(ボンドコネクト)のようなプログラムを通じて投資家のEM現地通貨建て債市場参入を促進することは、人民元の国際化という政府の長年にわたる目標をさらに後押しするものです。
とはいえ、現時点では、中国の国内ソブリン債市場に対する海外投資家のエクスポージャーは3~4%と比較的限定的であり、全体のうち約50%は中央銀行が保有しています7。米ドルからの分散の必要性と、人民元の低ボラティリティとバリュエーションの魅力を考えると、外国人投資家のシェアは緩やかなペースで伸びていることがわかります。消費者が中国では欧州よりも50%安い値段で、 iPhoneやBYDの車のような商品を国の補助金なしに買うことができるということは、人民元の割安さを示しています。
香港の現地通貨建て市場も、現在の分散化トレンドからの恩恵を受ける可能性があると考えています。同市場は、十分に発達した金融インフラを備えており、比較的魅力的な金利水準で、投資家に米ドル資産に代わる安定した選択肢を提供します。これは、香港当局にとって、米ドル建て発行額が縮小する中で、ソブリン債および社債発行体双方にとって、現地通貨建て市場をより深く発展させる機会となる可能性があります。
中国は、香港をより影響力のあるグローバルな金融ハブとして発展させること決意しているようです。最近、中国当局は、特定の国内ブローカーが香港での顧客向けに暗号通貨取引を行うことを許可しました。もっとも、最近の不動産セクターのデフォルトの経験を踏まえると、ハイ・イールド資産に限れば、国内のリスク・選好は相対的に弱い状態にとどまっています。当局は、国内投資家の発行体の信用リスクを軽減するために、外部機関による保証の提供を求めています。このことは、最終的には、この地域における高格付け銘柄に対してはるかに強力な支援を提供し、高利回りの発行体は比較的流動性のアクセスが制限される状況のままとなります。
また、目に見えて改善が見られたのは、環境イニシアチブの増加です。わずか1年前に訪れた場所は、高速道路や市街地に沿って果てしなく木々が植えられ、緑のオアシスに変わっていました。これは習近平主席のスローガン「緑の山は金銀に匹敵する価値がある」のもとで進められている「グリーン・グラス・ベルト」の一例です。エネルギー効率の改善は、製造業セクターにおいても顕著です。完全にリサイクル可能なバッテリーを備えた電気自動車が主流であることに加え、メーカーからは現在、ハイブリッド車は、同量の燃料の使用で3倍の出力を実現しているという話を聞きました。
AIを活用したイノベーションへの継続的な注力は、製造業から消費財に至るまで、あらゆる分野に広がっています。子ども向けの自己学習型AIコンピュータの新モデルや、すべての会合で使用した即時ビジネス取引デバイスに感銘を受けました。中国語を勉強している娘のためにAI翻訳ペンを買わずにはいられませんでしたが、中国人の仲間とのあいだで育まれる粘り強さと熱意を身につけることは、また別の課題でしょう!
私は中国の労働倫理に魅了され続けています。私は、組織の上層部が「自己批判」の実践を重要視していることに感銘を受けました。ある資産運用会社のCEOは、毎年の取締役会で、メンバーは自分自身の弱点を指摘し、今後の期間でそれらを改善することへのコミットメントを示すことを求められていると、共有してくれました。
レジャー活動でさえ、中国人は完璧を求めて努力します。数名の経営者は、子どもたちと週7日運動していることを強調しました。毎日4時間テニスをする8歳の少年の例を挙げられましたが、これは例外ではなく普通だと考えられています。程度によっては容易に「やりすぎ」に転じ、潜在的に悪影響を及ぼす可能性があることを否めません。少し前、習主席は過剰競争に対処するために放課後の学習塾を禁止しましたが、この動きは、代替として、子供向け学習AIコンピューターの普及を後押ししました。
中国の生活様式や働き方は欧米の人々には魅力的ではないかもしれませんが、成果を出している点において非難することはできません。私はいつも中国への出張を生産的だと感じており、現地の担当者との経済的および哲学的な意見交換を非常に楽しんでいます。時々、中国での経験は、私のソビエト時代を思い出させます。生活は必ずしも西洋ほど快適ではありませんでしたが、それでも間違いなく刺激的で人格形成に役立ちました。
「ピンプルスープ」のように、見た目や名前はやや不快かもしれませんが、料理は栄養価が高く満足感があります。中国に投資する者としては、その国が経済的および社会的目標を達成するために採用する「レシピ」は、一定の強さを引き出すこともあれば、実際に潜在的な落とし穴となる可能性があることに留意しなければなりません。しかし、それらを目標そのものと混同してはいけません。今回の訪問によって、現在の中国における投資機会は、綿密な評価とより長期的な視野を必要とすると言えますが、慎重な銘柄選択によって、投資家の「食欲」を満たすことは依然として可能と言えるでしょう。
1Centaline、UBS
2 国家金融監督管理総局
3 National economy made steady improvement despite challenges in the first half year.
4China Finance 40
5 BNPパリバ
6ブルームバーグ
7中国中央国債登記結算有限責任公司
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